2024年12月27日

「自治体でできる『気候変動』対策」学習会(11/17)レポート

11/17(日)に開催された「自治体でできる『気候変動』対策」学習会のレポートを掲載します

自治体でできる「気候変動」対策
報告:田浦健朗 特活 気候ネットワーク事務局長
文責:大阪モニ太・どないする大阪の未来ネット

1,気候の危機と脱炭素に向かう世界
 
気候ネットワークは、京都議定書ができたCOP3を機にできた団体だ。
1850年以降、地球の平均気温は1.09度上がり、2023年は観測史上最も暑い一年だった。気候変動は、単なる環境問題にとどまらない。海面上昇・高潮、洪水・豪雨、インフラ機能停止、熱中症、食料不足、水不足、海洋・陸上の生態系損失などさまざまな影響がでる。

気温上昇で水蒸気が増え、世界中で洪水が起こっている。パキスタンは、2022年の洪水で国土の1/3が水没。毎年のようにドイツ、スペインでも洪水が起き、逆に、年によっては欧州すべての河川が渇水することもある。干ばつと高温が続くと山火事が起こる。台風も大型化する。

“気候変動によって、台風の被害額は40億ドル増えた”など、海外ニュースでは「気候変動の影響」として伝えているが日本ではほとんど伝えられていない。異常な豪雨、干ばつ、砂漠化、環境劣化、海面上昇などで、毎年2000万人が故郷を追われている。気候難民が増えたり、時には戦争のきっかけになるなど、気候変動は世界の平和を脅かしている。

今後の地球がどうなるか。かすかな望みだが、可能性は残されている。
CO2排出量を可能な限り早く削減をして、2050年以降ゼロにすれば、2度程度の気温上昇に抑えられる確率が高くなる。

2,世界の動き
 
COP28(2023年)で、化石燃料からの脱却が合意された。つまり、石油、天然ガス、石炭を使わないという合意だ。火力発電は、まずは“脱石炭”だった。天然ガスもカーボンゼロではない。再エネが増えるまでは天然ガスでつなぐ計画で、すでに石炭はイギリスもゼロだ。日本の対策はかなり遅れている現状がある。

日本国内の一次エネルギー供給は化石燃料が7割占めており、あと30年でほとんどなくす必要がある。システムの大きな変化は必要だが、今ある技術で実現が可能であるという調査結果もある。

世界の電気の約3割は再エネで、毎年増えている。つまり電気の再エネ100%はさほど難しくなく、やったほうが得という流れになっている。ただし、エネルギーは電気だけではない。熱や移動のための燃料も多く、そこがまだまだ再エネが少ないのが現状だ。

再エネ100%でないと、企業もビジネスができない時代が来ようとしている。再エネは雇用、特に女性の雇用を生む。日本は特に化石資源の輸入に年間20~30兆円が流出しているが、再エネであればお金が残る。


3,自治体でできる対策

・脱炭素先行地域
  
環境省が予算を付けて、2025年度までに100か所「脱炭素先行地域」を選定し、脱炭素に向かう取り組みを実施している。近畿では大阪市、堺市、京都市、神戸市、尼崎市など11提案が選ばれている。何をどのようなスケジュールで実施するのかしっかり計画し、採択されれば補助金が付くため、いろいろなことがやりやすくなる。

京都市は伏見エリアを中心に、100か所のお寺や商店街、大学などで太陽光などの再エネ設備や蓄電池の導入、既存住宅のZEHレベル化改修の促進、タクシーのEV化などが進められている。

日本は、「我慢して省エネ」の意識が根強い。気候変動対策は“我慢や不便、経済に悪影響”と刷り込まれている。大手ハウスメーカーではZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準の建築も多くなっているが、地域の工務店はそこまで到達していない。光熱費実質ゼロとなり、ヒートショックのリスクも減り、健康にも良い。
脱炭素は環境部局の担当、となると限界がある。将来元が取れるのに、初期投資が不十分なために実施されず、地域のお金が外に流出する悪循環が続いている。まずは自治体から考え方を変え、政策で対応すべきだ。

▼とっとり健康省エネ住宅条例
 
住宅政策は、国の省エネ基準ZEHでは不十分だ。欧米では今の日本の2倍以上の断熱性能が義務化されている。そんな中、鳥取県では欧米並みの“とっとり基準”が始まっている。

国のZEH基準は世界基準より低いが、鳥取県はヨーロッパ並みの基準で独自に作った。鳥取県が工事費、冷暖房費を数値で表し、地域の工務店へ支援、購入者に補助金を出している。価格は高いが、15年ほどで元がとれる。工事費だけではなく冷暖房費を累計し、トータルコストで考えると、得になる。ヒートショックやアレルギー疾患リスクが減り、健康にも効果がある。他府県も、すぐ導入できる仕組みだ。

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▼京都市
 
1997年COP3で、京都議定書が誕生、日本初の「京都市地球温暖化対策条例」が2005年に施行された。本当に京都市は2050年にゼロにできるのか。私たちは京都市と意見交換しながら、脱炭素へのシナリオを研究した。今ある技術だけで試算したところ、ちゃんとやれば、2050年ほぼゼロは可能という計算結果になり、条例策定時に参照された。あとは、政策でどのように実現していくかだ。

一定規模以上のエネルギーを使用している事業所は、経産省への毎年の報告が省エネ法で定められている。しかし、省エネ法は削減義務がなく、自主性に任せている。中小企業、公共施設、家庭をうまく切り分けて制度設計し、削減する仕組みにすべきだ。
京都市の工夫は、報告だけではなく、削減計画と毎年の成果の報告を義務付け、評価していくという制度にしたことだ。

京都市ではこの条例に伴い、温暖化対策の計画が立てられている。
条例の策定時に、①数値目標がある、②重点施策で各分野をカバー、③特定建築物、特定事業者、特定機器に義務付けしたことがこの条例の特徴だ。
2050年にカーボンゼロの達成を目指す、脱炭素を目指す条例と計画が2021年施行された。

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・他自治体
 
東京都はキャップをつけ「守れなければお金を出す、余分に守れたらお金が入る」という、ヨーロッパがやっているキャップトレード型排出量取引という制度を東京都独自で導入した。
また、太陽光パネル設置の義務化条例が、東京都で2025年からスタートする。戸建てを新築する際、太陽光発電の設置を義務化する内容だが、私たちは“標準化”と呼んでいる。すべての建築物に設置するのではく、日照条件が悪いなど「付けられない時はつけなくてよい、つけれる場所はつける、支援もする」という効果がある良い制度だ。

都道府県で進んでいるのは長野県。再エネを増やすため、長野県全体でそのためのコンソーシアムを作ったり、とても良い仕組みができている。飯田市には“地域環境権という地域の資源は地域のもの、地域外の事業者のみにより、地域にメリットがない再エネ設置はできない”といった制度がある。


・電力小売り会社
 
福知山市と意見交換しながら、市民団体らで地域新電力会社「たんたんエナジー」を設立した。2020年から市内小学校や庁舎への供給を開始し、50施設以上に実質再エネ由来のCO2ゼロ電力を供給している。事業所・家庭への電力供給も開始している。

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オンサイトPPA方式で、市民が出資し自治体の初期投資はゼロ、設置はたんたんエナジー、発電した電気は、たんたんエナジーを通じて福知山市が購入する、という方式だ。出た利益は地域の活動に寄付をしている。地域の小さな電力会社をうまく活用すれば、CO2ゼロにできる。

・ソーラーシェアリング
 
農地の上に太陽光発電を付けるソーラーシェアリングも可能性があり、さまざまな工夫がされている。作物の生育に支障がない範囲で農業をやりながら、太陽光発電の追加的な収入を得ることができる。課題はあるが、規制緩和や支援の仕組みなどの制度設計が必要になる。

・太陽光発電はエネルギー的にも元が取れる
 
太陽光パネルの製造・設置・廃棄に投入したエネルギーは2-3年で元が取れる。リサイクルやリユースの仕組みも実験的に行われており、技術的にはすべてできる。車や家電製品と同じように、ルールが今作られているところだ。太陽光発電は2013年以降に急速に普及し、パネル自体の寿命が30-40年以上。これからルールさえできれば、パネルの多くははシリコンとガラスと鉄枠がほとんどなので、ほぼリサイクルできる。

再エネは、住宅、交通、まちづくりで考える必要がある。対策の初期投資が不足しており、結果、地域の資金が流出している。域外に流出するエネルギー費用の域内循環は重要だ。私たちはドイツの、地域のための電力会社シュタットベルケの仕組みをモデルにしている。自治体・企業や家庭等をつなぐ中間支援の組織が必要と考え、調査・提案をしているところだ。やはり、地域の人たちが主体となって設置することが重要で、そのためのルール作りや条例も必要だろうと考える。
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2024年05月07日

6/11 大阪の維新政治と民主主義を考えよう! 分断による統治から信頼でつなぐ自治へ! 講演と交流のつどい

大阪の政治をどのような方向に変えるべきか? 3年後の統一選挙をめざして、どう運動を進めるか? 議論の第1弾企画です。皆様のご参加をお待ちします。

大阪の維新政治と民主主義を考えよう! 分断による統治から信頼でつなぐ自治へ!
講演と交流のつどい

日時 :6月11日(火) 18時30分〜20時30分
会場 :ターネンビルNO2 2階 (谷町線「谷町4丁目」1A出口より北へ3分)
講演 :大阪自治研センター副所長 山口勝己さん(前 自治労大阪府本部委員長)

大阪で都構想反対を担った経験から維新政治の本質的問題を分析するとともに、万博をめぐる迷走、IRカジノ頼みの成長戦略の実態を明らかにし、「自治」をキーワードにポスト維新政治への展望を考えます。

資料代:500円

*********************

共催:
どないする大阪の未来ネット
NPO労働と人権サポートセンター・大阪
フューチャーおおさか(大阪の未来をつくる市民ネットワーク)
大阪モニ太(大阪をモニタリングする市民の会)

連絡先:大阪市北区天神橋2−2−9 プラネット南森町8階
どないする大阪の未来ネット(06)6352-3400 FAX (06)6352-3401

*参加予約はいりませんので、直接会場にお越し願います。

チラシは以下からダウンロードできます。
6_11講演集会チラシ(印刷用).pdf

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2021年05月08日

大阪市との協議内容(4/20)

どないネット・夢島懇談会・カジノ反対9団体では、4月20日、コロナ対策や万博・カジノ問題、広域行政一元化などについて、大阪市と協議をおこないました。内容は多岐にわたるものでしたが、協議でのやりとりについて、以下に紹介します。こちらからの質問は*がついた部分です。

第1部 要望事項1・2(コロナ対策)について
大阪市側出席者:副首都推進局、健康局、福祉局 計4人

*コロナ感染が広がっている大変な状況になっている。雇用の確保、生活保障問題、保健所・医療体制の問題をどう解決しようとしているのか?
(健康局)市民にみなさんにはこれまでとは違う生活をお願いしている。3月終わりころから感染者が急増。保健所の体制については、保健所は一つだが、24区役所に保健センターがある。200人体制で取り組んでいる。患者さんに十分対応しきれていない状況はある。府全体で病床の確保に取り組んでいる。ワクチンについて、4/14から一部の高齢者施設で接種開始、5/24の週から一般の高齢者から接種を始める予定。情報が日々変わってくる。今年度に入って、新採25人を含めて、50人くらい正職員を増員した200人体制となった。相談業務別途コールセンターには派遣の看護師に頼んでいる。

*副首都推進局の今後の体制は?
(副首都推進局)広域機能の一元化という方向が示され、副首都推進局の組織を残して対応している。住民投票の結果を受けて、今年1月には84人体制から59人体制に縮小し、4月からは43人体制に。総合区の検討は市民局に移した。行政一元化条例について副首都推進局で担当。

*生活に困っている人の就労支援については?
(福祉局)そもそも生活困窮者自立支援法の基づき、相談支援、就労支援、住居支援。就労活動の支援として、住居確保にもとりくんでいる。新型コロナの影響と思われるが、相談件数は一昨年の8千件から、昨年は倍増している。住居確保も58件から7千件に増加。仕事、住まいの相談が多い。区役所の窓口は区の社会福祉協議会に委託。

*知人の濃厚接触者にPCR検査の通知がこないと聞いた。濃厚接触者の検査状況は?
(健康局)大阪市で毎日、4〜6千件の検査を実施。感染者の濃厚接触者の認定は保健所が判断。認定された人にはPCR検査をしてもらう。感染者が非常に多いので、重症になりやすい集団の方を優先せざるをえないことはある。かかりつけ医経由の民間での検査の方が公的施設での検査よりも多い。

*生活保護の申請は増えているのか?
(福祉局)リーマンショックのときほど増えていない。
(参考:どの自治体も生活保護の申請件数の増加はわずか。社協での貸付等でと持ちこたえていると思われる。生活保護を忌避する人が多い。)

*ケースワーカーの一人あたり受け持ち人数がわかれば。
(福祉局)高齢者世帯については、ケースワーカー一人で280件くらい。一般世帯は80件。相談員はケースワーカーと別。

*市として住居確保はしていないのか?
(福祉局)福祉局としては、住居確保給付金の給付という形になる。市営住宅に入居させるという支援策はない。

*縦割りではなく、総合的な施策が必要ではないか?
(福祉局)プロジェクトチームみたいな形で会議はあるが、なかなか会議を開けていない。

*コロナ対策について、大阪府に一元化されていると聞くが、大阪からの指示待ちなのか? 大阪市の独自の取り組みをすべきではないのか?
(健康局)政府からの通知は大阪市にも直接来ている。ただ、対策は大阪府と一緒にやるということになっている。

*政令市だからやれることはあるのではないか?
(福祉局)生活困窮者の自立支援は大阪市のとりくみで、府ではやっていない。任意の事業も大阪市ではやっている。24区に相談窓口を設置している。政令市で各区に置いているのは少ない。
(健康局)大阪市独自の病床確保協力金はあるが、大阪府と一体となってやっている。(検査キットの配布や抗体検査などは)特に考えていない。

*台湾やベトナムでの成功に学んで、こうした止められるというのを大阪市で示せないのか?
(健康局)(台湾やベトナムは)国家あげての対応をしている印象。

*予算は増えているのか? 民間検査は検査数に含まれているのか?
(健康局)当初予算は増えている。有料の民間検査は検査数には含まれていない。陽性者数には民間検査の分も含まれているので、陽性率はもっと低くなるかもしれない。

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第2部 要望事項3〜5(万博・カジノ、夢島開発、広域行政一元化など)について
大阪市出席者:経済戦略局、大阪港湾局、IR推進局、環境局、副首都推進局、市民局 計12人

*万博会場建設費について、600億円増額になった。それで済むのか、気になっている。経費がさらに膨らむ可能性を日経も指摘。どこまで上振れするのか? 最終的に撤去する際の費用は大阪市・府が起債できないはずだ。一般財源で負担するのか?
(経済戦略局)大阪市は建設費用の6分の1を負担。最大でも1,850億円とされているので、そのように認識している。撤去費用は一般財源だ。

*運営費が赤字になった場合はどうするのか?コロナで2800万人は無理だが、こなければ赤字。赤字になった場合の費用分担はどうなるのか?また、関連事業費の上振れは?
(経済戦略局)万博協会から2800万人という想定で入場料収入の計算が出されているので、それでまかなえると考えている。運営費はチケット収入でまかなうということなので、万博協会の負担。国の事業でもあり大阪市は負担しないという理解。関連事業費は予定通りと認識しており、そういったリスクは計算していない。

*負担しないというのは確約をとっているのか。大阪市がそう理解しているだけなら、確約をとるべきではないか。
(経済戦略局)マイナスになった場合の議論はしていない。

*夢洲の土壌問題。ボーリング結果が公表されているが、地下鉄が通るところはN値が10以下で、高層ビルを立てるのはN値50以上が必要。軟弱な地盤で大丈夫か? 土壌のヒ素やフッ素、鉛が基準を超えている。ダイオキシンやPCBは含まれていないのか?
(大阪港湾局)土壌の強度を基にして、駅舎の壁の厚さも設計している。強度は十分だが、地盤沈下は中に空間ができるので起こりにくい。それに対応した設計をしている。土壌で三つの物質は基準を超過しているが、人体に影響をもたらすものではない。ダイオキシンやPCBも含まれているが、基準値以下。

*掘削した土はどこに? 掘削作業員の安全は?
(大阪港湾局)処理法は鋭意検討中。どこに処理するかもこれから検討。汚泥として受け付けているところに持っていく。作業員が直接土砂に接することはない。(労働衛生安全法に抵触しないように)大阪メトロから業者に指示することになる。

*540億円かけて地下鉄を建設しても、万博終わったらどうするのか?
(大阪港湾局)万博のために建設するのではない。国際物流拠点、国際観光拠点として整備して、まちづくりを進めていく。人流について地下鉄で確保していく。万博が終わって役割がなくなるというものではない。

*2030年にカジノ・IRができても、5年間は空白になり、誰が乗るのか? 地下鉄が必要なのか?
*カジノ・IRの1日あたり最大集客数はどう想定しているのか?
(IR推進局)数字は年間来場者数を示しているので、でこぼこもあり、1日の最大来場人数は算定していない。アクセスごとの来場人数は出していない。
*IRカジノは夢洲まちづくり構想の核にも拘わらず、その想定もせずにアクセス整備を進めているのか。カジノへは1日当たり平均4万人。万博では一日当たりが最大日でも鉄道以外で約17万人運べる。地下鉄延伸しなくとも、十分余裕があるはずだ。

*万博期間中は、コンテナを咲洲から夜間に夢洲に運ぶとしているが、費用的に見えてこないところがある。その費用は業者が負担するのか? トンネルの中で車が横転して、3時間ストップしたこともある。上手く回るか不安。現場の声を聞くことは考えているのか?
*万博期間中に、神戸に流れてしまう。なぜそれを言わないのか?
(大阪港湾局)港湾協会や労働組合とは対話の場も設けている。質問には改めて回答したい。

*駅舎は本当に高層ビルを作るのか?
(大阪港湾局)高層ビルは大阪メトロが打ち上げたもので、いまでも生きているかはわからない。駅前総合開発は駅舎とは別。

*広域一元化条例の中身は「規約」で決まっていくことになるのだろうが、これまで決まっていた事業の費用負担は見直しもされるのか?
(副首都推進局)4/8の会議で「規約」案の骨子が出され、承認された。現在、「規約」を作成中。これまで決まっていたものの費用負担は従前通りとされているが、8条3項で必要と認める場合には議論されることになると思う。

*万博建設費用の見直しもあるのか?
(副首都推進局)8条3項に「必要があれば、費用負担について府と協議する」とあるので、協議の結果、そうなる可能性はある。

*総合区を市民局が担当するようになったのはなぜか?
(市民局)住民の身近なところで区長の権限を拡大して、基礎自治体機能の拡充を目指すという意味で、市民局で担当することになった。私もそうだが、13人中5人が副首都推進局から横滑り。

*広域行政一元化について、市民がほとんど知らされていない。2000億円が条例や規約であちこち回されるというのは本当に考えて欲しい。
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2020年08月25日

咲洲庁舎内ホテル解約〜賃料など3億円滞納で大阪府

8月25日の毎日新聞朝刊によれば、大阪府庁咲洲庁舎内に昨年1月に開業した「さきしまコスモタワーホテル」が賃料などを滞納しているとして、大阪府が賃貸契約を解錠したと報じられています。

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同記事によると、「大阪府の咲洲庁舎で2019年1月に開業したばかりのホテル「さきしまコスモタワーホテル」について、府が7月末に賃貸借契約を解除したことが関係者への取材で判明した。ホテルの運営会社は今も営業を続けているが、賃料や光熱費など計約3億2000万円を滞納しており、府はフロアの明け渡しや滞納金の支払いなどを求めて訴訟を起こすことも検討している。府とホテル側は18年から20年間、賃貸借契約を締結し現在の賃料は月3500万円。咲洲庁舎の7~17階部分で客室371室を整備する計画だった。19年1月に109室で先行開業すると、インバウンド(訪日外国人)や修学旅行客でにぎわった。北隣の夢洲(ゆめしま)で開催される25年大阪・関西万博での需要も期待されていた」が、エレベーターの不具合があって、その修理費用約4億円をホテルが負担(府は費用負担を拒否)したことで資金繰りが悪化し、昨年11月から賃料の滞納が続いていたとのことです。

契約時に府が発表したところでは、ホテルの事業者は、株式会社リコジャパン(堺市)、株式会社西辻工務店(和泉市)がの100%出資した子会社「株式会社さきしまコスモタワーホテル開発」とのことです。面積は同庁舎の7階から17階の全フロアで、合わせて約5000坪。月額賃料は3195万6750円(月坪6300円、消費税抜き)。今回の入居で、同庁舎の稼働率は、約20%増の84%に向上するとされていました。

当時の松井大阪府知事は、「ベイエリア全体に多くの海外からのお客さんを呼び込んでもらいたいと思います」「「ベイエリア活性化の第一歩ですね。何度もいうけど(咲洲庁舎は)1300億かけてつくってるんです、市民の税金を使って。これまでまったく失敗に対してフタをしてね、見ないようにしてきたのがこれまでの大阪府と大阪市の政治行政のスタンスでしたよ。とくに大阪市はオリンピック誘致失敗して、ベイエリアのほうをみると頭が痛くなるというかね、借金のかたまりでどうしようもできないという失敗に対してもうみないようにしてきた。我々は違います。なんとかね、その失敗を、いつも言うてるんですけど、負の遺産をプラスの資産にかえていこうと、その一歩ですね」と語っていました。しかし、結局は、「負の遺産をプラスの資産にかえて」いくことに失敗したという結果になりました。
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2020年08月08日

大阪市との協議(詳報)

8月7日におこなわれた大阪市との協議の内容です。

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まず、夢洲懇談会の桜田照雄さん、STOP!カジノ大阪の服部良一さんから、協議開始にあたってのあいさつがありました。

桜田さん)
都構想について二つの懸念がある。一つは財政問題、もう一つはコロナ渦の中で、大阪市廃止・特別区設置という制度変更を同時に進めることができるのかという問題。大阪は深刻な不況の可能性がある。カジノについて、MGMは負債を三兆円抱え、コロナで売り上げが激減し、投資をする余力が残っていない。コロナによる経済不況は3年続くと言われている。大阪の経済がダメージを受けるのは明らか。都構想の具体化をしながら、切迫した市民の要求を大阪市に持っていって、それを通すことができるのか?

服部さん)
カジノ大阪誘致は邪道な政策であり、ぜひやめて欲しい。今後が見通せない、市民が生活に困っている中で、博打をどうするかを議論している場合ではない。カジノ業者も経営が成り立たない状況だ。立ち止まって考えるという行政としての決断、勇気を持ってもらいたい。


続いて、3項目にわたって、協議がおこなわれました。

<1>都構想を中止・延期し「コロナ対策を充実せよ

★地方行財政を研究してきた者として、特別区設置に疑問を感じている。コロナ危機の中で、都構想は不要不急、少なくとも不急で、コロナ対策が緊急の課題。大阪市の顔が見えない。住民投票を総選挙と一緒にやろうという市長に腹がたつ。わかりやすい説明が法律でも求められている。コロナの混乱した状況で、市民にわかりやすい説明ができるのか、住民説明会が前回並みにできるのか? 住民説明会の計画はしているのか? コロナ危機が大阪の財政を揺るがしている。財政シミュレーションのやり直しをするのか?
(副首都推進局)
大都市法では、住民投票の説明会はやることは決められているが、やり方は書いていない。計画については、まだ決まっていない。SNSなどを通じて、説明を尽くしていきたい。財政シミュレーションは、確かにコロナの前の数字を使っている。コロナで影響はある、税収が減るかもしれないが、国からの交付税などで特別区の財政はまかなえると考えている。

★充実した住民サービスは今できていないと考えているのか? 特別区で向上すると考えているのか?
(副首都推進局)
いまは、市民の要求が反映されていないところはあると思う。それは、具体的に何かはわからないが。70万の特別区の方がより良いサービスができると考える。270万の都市よりも「ニア・イズ・ベター」になる。

★特別区は70万で区切っているが、特別区の中でコロナ以前なら1.2倍、今なら1.5倍の財政の差がある。
(副首都推進局)
70万が最適だとは考えていないが、今よりは良くなるだろうと考えている。

★「だろう」という言い方で市民に説明できるのか。どれくらいの説明会を予定しているのか? SNSでは一方的で、双方向性を欠く。パブリックコメントについてどう考えるのか?
(副首都推進局)
100%効果が出るという約束はしていない。説明会開催については、回数とか、SNSの手法とか、ネット中継とか、まだお話しできる状況にはない。パブコメは制度が決まる前にやるもの。制度は決まっているので、説明会ではそれを説明することになる。意見は聞くことになる。わからないことに対してきちんと答えていきたい。

★会場は押さえているのか?
(副首都推進局)
特に情報の共有はしていないので、私は知らない。

★前回は市長が前面に出て、バラ色のイメージを振りまいたが、今回はメリット・デメリット含めて説明するのか? 公平性の担保は? 住民投票を延期すべきという意見が多かったと思うが、その点は検討されたのか?
(副首都推進局)
コストについては説明することになると思う。

★一部事務組合などについての説明がいままでされていない。どこまで説明するのか?
(副首都推進局)
評価に関わるような話は、説明会の質疑の中で聞いてもらうといい。

★交付税で特別区の財政はまかなえるというが、交付税は特別区には来なくて、大阪府に行ってしまう。
(副首都推進局)
特別区が直接もらう制度ではない。しかし、8割は特別区に、ということが条例で担保される。

★財政シミュレーションのやり直しをするのか?
(副首都推進局)
やり直しをするという話は聞いていない。不明と答えさせてほしい。

★やらなければならないという問題意識は持っているのか?
(副首都推進局)
いつの時点でやり直すのか、という問題もある。コロナの影響を反映して財政シミュレーションはやるという話にはなっていない。国もコロナでの財政への影響について、まだ明らかにしていない。

★府と特別区の対立が生じた場合、どうなるのか?
(副首都推進局・野田)
広範な行政サービスは大阪府で統一される。お金は同じだが、使い方を270万人でなく、70万人で決めましょうという考え方。身近な住民の声が届きやすくなる。これが「ニア・イズ・ベター」の考え方。広域的なことについては、270万人で考えるよりは、880万人で考える方がいいと考える。

★「赤信号が灯ったら(住民投票は)危ない」と吉村知事が言っている。協定書はいまどこにあるのか? 推進局の判断は?
(副首都推進局)
協定書は、いまは市長が持っている。推進局は、「止める」と言われれば、それに従うだけ。決定権は持っていない。

★そこまでしてやるメリットはどこにあるのか?
(副首都推進局)
コロナの対応もしながら、将来の発展についても考えないといけないという考え方だ。

<2>万博とSDGs、会場・費用問題

★大阪市のSDGsのパンフレットを見ると、経済・社会・環境が三則面という大原則が理解がされておらず認識が古い。夢洲の土壌は基準値内であれば、SDGsに貢献すると言えるのか?
(環境局)
焼却灰について、基準を満たしていると答えただけ。万博の担当ではないので、処分場のことのみを答えた。回答するのであれば、他の部局で。

★処分地ではなく、小学校であれば建設差し止めの対象になる。回答拒否ではないか。
★回答できないのか、再回答するのか?
★われわれの申し入れ書は、大阪市に対する質問だ。宿題にしておく。

★土地利用を変えて、商業地区になっているので、環境調査を改めてすべきではないか。
(港湾局)
埋め立てする際、埋め立て免許を取得する際には環境調査をおこなっている。環境庁の意見を求めて埋め立てを始めた。土地利用を変更する際には、大阪市環境局の影響評価でチェックしている。第三者の目は入っていない。基準も公表していない。

★大阪市の中で完結しており問題だ。
★夢洲は大丈夫と書いてあるが、周辺湾岸地域の防潮扉・水門などはもっと低く、周辺は水浸しになってしまう。補強対策はとっているのか?
(港湾局)
地震によって防潮堤が崩れた場合には水浸しになるという予測。耐震補強は進めている。

★回答が非常に雑。地震による影響を総合的に考えて回答しているとは思えない。津波の高さだけの話ではない。
★環境アセスと並行して、夢洲の災害対策は何かしているのか?
(港湾局)
埋め立てについて、万博に関して何かするという話はない。

★コアジサシの話もある。環境破壊されているのでは?
(港湾局)
コアジサシの話については、勉強不足のところもあった。工事は進めながら、営巣できるところを確保できるかどうか、専門家・団体とも協議し進めている。

<3>都構想・万博・カジノの一体化について

★カジノが決まらなかったら、地下鉄延長工事の負担金はどうするのか?
(港湾局)
IR事業者からインフラ負担金として202億円を出してもらう。港湾局港営事業会計でまず負担して、決まってからIR事業者に負担してもらう。IR前提で試算している。仮にダメとなれば、未利用地をできるだけ売却するなどして、港営事業会計の破綻を防がなければならない。万博のためだけにとなれば、港湾局の港営事業会計だけでは無理で、一般会計からなど他から調達することも考えねばならない。
(IR推進局)
IR事業者との協議は続いている。202億円は公募条件に記載しており進出の条件。

★事業者の財務指標は検討しているか? 負債の額は知っているのか? 協議が続けられると判断しているのか?
(IR推進局)
続けられるという判断をしている。MGMの財務諸表の分析を、大阪市として公表するということはない。

★メガソーラーはなくすのか?
(経済戦略局)
設置したままの計画をBIEに出した。秋に出てくる会場の基本計画でどうなるかは、博覧会を中心とした関係者で協議した上になる。

★MGMの借金のことは事業局内で認識されているのか?
(IR推進局)
担当局は確認していると思うが、局内で共有されているわけではない。

★隠れた瑕疵条項があるのではないか? 水没時の補償とか。
(IR推進局)
把握できていないが、自然災害まで行政が補償するかどうかは、事業者との契約の中で検討することになる。

★カジノ事業者の公募について、35年の長期契約になっている。その上に契約更新にあたって「契約更新を前提とし」となっている点は問題ではないか。カジノ反対の首長が出てきた場合、ISD条項などで莫大な補償金を支払わされる可能性とか、考えているのか?
(IR推進局)
契約の段階で検討していくことになる。

★カジノが来なかったら、2000億円かけて交通インフラ作って、どうするのか? 万博期間中の港湾業者の移転についてどうするのか?
(港湾局)
港湾業者と話はしている。大型船は夢洲だけ。万博の期間中に神戸に船が行ってしまえば、戻ってこなくなる恐れ。大阪港を守っていきたい。

★コロナ対策などで万博の事業費圧縮のとりくみは始まっているか? 大阪市から何か言っていくのか?
(経済戦略局)
協会に対し1250億円以内に収まるよう働きかけはしている。
(出席者全員に取り組みを確認したものの、他部局からは回答なし)

★万博協会との話し合いの中で、方法書ができる前に、大阪市の了解のもとで協会が業者の入札を行い、準備書に向けた調査を進めていたことを知った。これは条例違反ではないか?
(緊急の申し入れを環境局に提出)

最後に、お二人から総括的な意見を話していただき、この日の協議を終わりました。
桜田さん)
夢洲を会場にするのは市民から見ればリスキーな政策。リスクマネジメントをもっと大事にしてほしい。説明会では、判断の根拠を明らかにしてほしい。

服部さん)
コロナ感染が広がっている。もっと広がる可能性もある。倒産、失業など、財源を使わざるを得ない。十分な議論ができる環境がない中での住民投票はやめてほしい。コロナの中では、IR・カジノは無理なのではないか。失敗したらどうなるのか、シミュレーションして欲しい。止まる勇気を持って欲しい。
posted by terama at 10:58| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする