2021年05月21日

木川南小・久保校長の「提言書」への松井市長・市教委・維新からの攻撃を許すな!

大阪市淀川区の市立木川南小学校の久保敬校長が、市の教育行政への「提言書」を松井一郎市長に実名で送りました。この「提言書」の内容を支持する動きは、ネット上で大きく広がっています。朝日新聞などメディアでも取り上げられています。

しかし、松井市長は早速、久保校長に対する攻撃を始めています。新聞報道によれば、「従えないなら、組織を出るべき」として、「校長だけども、(社会の)現場がわかってないというかね、社会人として外に出てきたことあるんかな」「今の時代、子どもたちはすごいスピード感で競争する社会の中で生き抜いていかなければならない」「民間の会社であろうと、必ず評価のシステムがある。先生として、それは耐えられないと言うなら、仕事を変えたほうがいい」「(市教委の教育振興基本計画の)ルールに従えないなら、組織を出るべきだと思う」など、久保校長を教育現場から追放する動きを見せています。

また、市教委は今後、市職員基本条例4条の「職務や地位を私的利益のために用いてはならず」に反するかどうかを確認するとして、「事実を確認して厳正に対処する」と処分をチラつかせています。

現場の教員はもちろんのこと、校長からも大きな共感が寄せられているそうですが、松井市長や市教委、大阪維新の会からの攻撃がさらに強まることが予想されます。久保校長をこうした攻撃から守るために、この提言書への支持をさらに大きく拡大していかなければなりません。

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[久保校長の提言書]

豊かな学校文化を取り戻し、学び合う学校にするために

 子どもたちが豊かな未来を幸せに生きていくために、公教育はどうあるべきか真剣に考える時が来ている。

 学校は、グローバル経済を支える人材という「商品」を作り出す工場と化している。そこでは、子どもたちは、テストの点によって選別される「競争」に晒(さら)される。そして、教職員は、子どもの成長にかかわる教育の本質に根ざした働きができず、喜びのない何のためかわからないような仕事に追われ、疲弊していく。さらには、やりがいや使命感を奪われ、働くことへの意欲さえ失いつつある。

 今、価値の転換を図らなければ、教育の世界に未来はないのではないかとの思いが胸をよぎる。持続可能な学校にするために、本当に大切なことだけを行う必要がある。特別な事業は要らない。学校の規模や状況に応じて均等に予算と人を分配すればよい。特別なことをやめれば、評価のための評価や、効果検証のための報告書やアンケートも必要なくなるはずだ。全国学力・学習状況調査も学力経年調査もその結果を分析した膨大な資料も要らない。それぞれの子どもたちが自ら「学び」に向かうためにどのような支援をすればいいかは、毎日、一緒に学習していればわかる話である。

 現在の「運営に関する計画」も、学校協議会も手続き的なことに時間と労力がかかるばかりで、学校教育をよりよくしていくために、大きな効果をもたらすものではない。地域や保護者と共に教育を進めていくもっとよりよい形があるはずだ。目標管理シートによる人事評価制度も、教職員のやる気を喚起し、教育を活性化するものとしては機能していない。

 また、コロナ禍により前倒しになったGIGAスクール構想に伴う一人一台端末の配備についても、通信環境の整備等十分に練られることないまま場当たり的な計画で進められており、学校現場では今後の進展に危惧していた。3回目の緊急事態宣言発出に伴って、大阪市長が全小中学校でオンライン授業を行うとしたことを発端に、そのお粗末な状況が露呈したわけだが、その結果、学校現場は混乱を極め、何より保護者や児童生徒に大きな負担がかかっている。結局、子どもの安全・安心も学ぶ権利もどちらも保障されない状況をつくり出していることに、胸をかきむしられる思いである。

 つまり、本当に子どもの幸せな成長を願って、子どもの人権を尊重し「最善の利益」を考えた社会ではないことが、コロナ禍になってはっきりと可視化されてきたと言えるのではないだろうか。社会の課題のしわ寄せが、どんどん子どもや学校に襲いかかっている。虐待も不登校もいじめも増えるばかりである。10代の自殺も増えており、コロナ禍の現在、中高生の女子の自殺は急増している。これほどまでに、子どもたちを生き辛(づら)くさせているものは、何であるのか。私たち大人は、そのことに真剣に向き合わなければならない。グローバル化により激変する予測困難な社会を生き抜く力をつけなければならないと言うが、そんな社会自体が間違っているのではないのか。過度な競争を強いて、競争に打ち勝った者だけが「がんばった人間」として評価される、そんな理不尽な社会であっていいのか。誰もが幸せに生きる権利を持っており、社会は自由で公正・公平でなければならないはずだ。

 「生き抜く」世の中ではなく、「生き合う」世の中でなくてはならない。そうでなければ、このコロナ禍にも、地球温暖化にも対応することができないにちがいない。世界の人々が連帯して、この地球規模の危機を乗り越えるために必要な力は、学力経年調査の平均点を1点あげることとは無関係である。全市共通目標が、いかに虚(むな)しく、わたしたちの教育への情熱を萎(な)えさせるものか、想像していただきたい。

 子どもたちと一緒に学んだり、遊んだりする時間を楽しみたい。子どもたちに直接かかわる仕事がしたいのだ。子どもたちに働きかけた結果は、数値による効果検証などではなく、子どもの反応として、直接肌で感じたいのだ。1点・2点を追い求めるのではなく、子どもたちの5年先、10年先を見据えて、今という時間を共に過ごしたいのだ。テストの点数というエビデンスはそれほど正しいものなのか。

 あらゆるものを数値化して評価することで、人と人との信頼や信用をズタズタにし、温かなつながりを奪っただけではないのか。

 間違いなく、教職員、学校は疲弊しているし、教育の質は低下している。誰もそんなことを望んではいないはずだ。誰もが一生懸命働き、人の役に立って、幸せな人生を送りたいと願っている。その当たり前の願いを育み、自己実現できるよう支援していくのが学校でなければならない。

 「競争」ではなく「協働」の社会でなければ、持続可能な社会にはならない。

 コロナ禍の今、本当に子どもたちの安心・安全と学びをどのように保障していくかは、難しい問題である。オンライン学習などICT機器を使った学習も教育の手段としては有効なものであるだろう。しかし、それが子どもの「いのち」(人権)に光が当たっていなければ、結局は子どもたちをさらに追い詰め、苦しめることになるのではないだろうか。今回のオンライン授業に関する現場の混乱は、大人の都合による勝手な判断によるものである。

 根本的な教育の在り方、いや政治や社会の在り方を見直し、子どもたちの未来に明るい光を見出したいと切に願うものである。これは、子どもの問題ではなく、まさしく大人の問題であり、政治的権力を持つ立場にある人にはその大きな責任が課せられているのではないだろうか。

令和3(2021)年5月17日

大阪市立木川南小学校 

校 長 久保 敬
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2021年05月16日

大阪市5月補正予算案/地下鉄延伸工事費40億円増!

どないする大阪の未来ネットからのニュースです。
       
5月14日に大阪市会が開会しました。コロナ関連補正予算案と一元化条例に基づく「事務委託規約」(4本)の審議が中心です。

大阪市5月補正予算(案) 今なぜ? 「買い物応援」に100億円! 医療・生活対策に廻すべき! 
  
大阪市の5月議会での「コロナ関連補正予算(案)」
<補正予算案の内訳>
 コロナ感染症患者受入病床拡充協力金の追加 46億6000万円
 住居確保給付金の追加及び体制強化     13億 200万円
 コロナ禍で困難・課題を抱える女性への支援    1500万円
 買い物応援キャンペーン事業        99億3800万円
            計        159億1500万円

大阪市の2019年度よりの「コロナ対策の財政規模」合計金額は、この5月補正を含めて、5281億円となります。
(内訳)国庫支出金   3657億円
    府支出金     749億円
    大阪市一般財源 1052億円(▼176億円)
   
*5281億円の歳出の内、大阪市の財源支出は 20%だけ。財政調整基金は、1,000億円以上残っている。

その一方で、「夢洲」地下鉄延伸工事費は、40億円増の見込み!
 
万博会場を予定する「夢洲」の地下鉄延伸トンネル工事費が、軟弱地盤の難工事のために当初の試算額より40億円増となり、290億円かかると大阪市が明らかにした。夢咲トンネルの線路整備などを合わせると580億円となる。淀川左岸線2期工事(梅田〜此花)が700億円増となり、1860億円に跳ね上がった。
 
コロナ禍や「医療崩壊」で市民生活が「大ピンチ」の大阪市が、こんな大型投資に税金を投入していていいのか? 「万博・夢洲開発」は断固見直すべきだ!
posted by terama at 15:27| Comment(0) | コロナ対策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月08日

大阪市との協議内容(4/20)

どないネット・夢島懇談会・カジノ反対9団体では、4月20日、コロナ対策や万博・カジノ問題、広域行政一元化などについて、大阪市と協議をおこないました。内容は多岐にわたるものでしたが、協議でのやりとりについて、以下に紹介します。こちらからの質問は*がついた部分です。

第1部 要望事項1・2(コロナ対策)について
大阪市側出席者:副首都推進局、健康局、福祉局 計4人

*コロナ感染が広がっている大変な状況になっている。雇用の確保、生活保障問題、保健所・医療体制の問題をどう解決しようとしているのか?
(健康局)市民にみなさんにはこれまでとは違う生活をお願いしている。3月終わりころから感染者が急増。保健所の体制については、保健所は一つだが、24区役所に保健センターがある。200人体制で取り組んでいる。患者さんに十分対応しきれていない状況はある。府全体で病床の確保に取り組んでいる。ワクチンについて、4/14から一部の高齢者施設で接種開始、5/24の週から一般の高齢者から接種を始める予定。情報が日々変わってくる。今年度に入って、新採25人を含めて、50人くらい正職員を増員した200人体制となった。相談業務別途コールセンターには派遣の看護師に頼んでいる。

*副首都推進局の今後の体制は?
(副首都推進局)広域機能の一元化という方向が示され、副首都推進局の組織を残して対応している。住民投票の結果を受けて、今年1月には84人体制から59人体制に縮小し、4月からは43人体制に。総合区の検討は市民局に移した。行政一元化条例について副首都推進局で担当。

*生活に困っている人の就労支援については?
(福祉局)そもそも生活困窮者自立支援法の基づき、相談支援、就労支援、住居支援。就労活動の支援として、住居確保にもとりくんでいる。新型コロナの影響と思われるが、相談件数は一昨年の8千件から、昨年は倍増している。住居確保も58件から7千件に増加。仕事、住まいの相談が多い。区役所の窓口は区の社会福祉協議会に委託。

*知人の濃厚接触者にPCR検査の通知がこないと聞いた。濃厚接触者の検査状況は?
(健康局)大阪市で毎日、4〜6千件の検査を実施。感染者の濃厚接触者の認定は保健所が判断。認定された人にはPCR検査をしてもらう。感染者が非常に多いので、重症になりやすい集団の方を優先せざるをえないことはある。かかりつけ医経由の民間での検査の方が公的施設での検査よりも多い。

*生活保護の申請は増えているのか?
(福祉局)リーマンショックのときほど増えていない。
(参考:どの自治体も生活保護の申請件数の増加はわずか。社協での貸付等でと持ちこたえていると思われる。生活保護を忌避する人が多い。)

*ケースワーカーの一人あたり受け持ち人数がわかれば。
(福祉局)高齢者世帯については、ケースワーカー一人で280件くらい。一般世帯は80件。相談員はケースワーカーと別。

*市として住居確保はしていないのか?
(福祉局)福祉局としては、住居確保給付金の給付という形になる。市営住宅に入居させるという支援策はない。

*縦割りではなく、総合的な施策が必要ではないか?
(福祉局)プロジェクトチームみたいな形で会議はあるが、なかなか会議を開けていない。

*コロナ対策について、大阪府に一元化されていると聞くが、大阪からの指示待ちなのか? 大阪市の独自の取り組みをすべきではないのか?
(健康局)政府からの通知は大阪市にも直接来ている。ただ、対策は大阪府と一緒にやるということになっている。

*政令市だからやれることはあるのではないか?
(福祉局)生活困窮者の自立支援は大阪市のとりくみで、府ではやっていない。任意の事業も大阪市ではやっている。24区に相談窓口を設置している。政令市で各区に置いているのは少ない。
(健康局)大阪市独自の病床確保協力金はあるが、大阪府と一体となってやっている。(検査キットの配布や抗体検査などは)特に考えていない。

*台湾やベトナムでの成功に学んで、こうした止められるというのを大阪市で示せないのか?
(健康局)(台湾やベトナムは)国家あげての対応をしている印象。

*予算は増えているのか? 民間検査は検査数に含まれているのか?
(健康局)当初予算は増えている。有料の民間検査は検査数には含まれていない。陽性者数には民間検査の分も含まれているので、陽性率はもっと低くなるかもしれない。

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第2部 要望事項3〜5(万博・カジノ、夢島開発、広域行政一元化など)について
大阪市出席者:経済戦略局、大阪港湾局、IR推進局、環境局、副首都推進局、市民局 計12人

*万博会場建設費について、600億円増額になった。それで済むのか、気になっている。経費がさらに膨らむ可能性を日経も指摘。どこまで上振れするのか? 最終的に撤去する際の費用は大阪市・府が起債できないはずだ。一般財源で負担するのか?
(経済戦略局)大阪市は建設費用の6分の1を負担。最大でも1,850億円とされているので、そのように認識している。撤去費用は一般財源だ。

*運営費が赤字になった場合はどうするのか?コロナで2800万人は無理だが、こなければ赤字。赤字になった場合の費用分担はどうなるのか?また、関連事業費の上振れは?
(経済戦略局)万博協会から2800万人という想定で入場料収入の計算が出されているので、それでまかなえると考えている。運営費はチケット収入でまかなうということなので、万博協会の負担。国の事業でもあり大阪市は負担しないという理解。関連事業費は予定通りと認識しており、そういったリスクは計算していない。

*負担しないというのは確約をとっているのか。大阪市がそう理解しているだけなら、確約をとるべきではないか。
(経済戦略局)マイナスになった場合の議論はしていない。

*夢洲の土壌問題。ボーリング結果が公表されているが、地下鉄が通るところはN値が10以下で、高層ビルを立てるのはN値50以上が必要。軟弱な地盤で大丈夫か? 土壌のヒ素やフッ素、鉛が基準を超えている。ダイオキシンやPCBは含まれていないのか?
(大阪港湾局)土壌の強度を基にして、駅舎の壁の厚さも設計している。強度は十分だが、地盤沈下は中に空間ができるので起こりにくい。それに対応した設計をしている。土壌で三つの物質は基準を超過しているが、人体に影響をもたらすものではない。ダイオキシンやPCBも含まれているが、基準値以下。

*掘削した土はどこに? 掘削作業員の安全は?
(大阪港湾局)処理法は鋭意検討中。どこに処理するかもこれから検討。汚泥として受け付けているところに持っていく。作業員が直接土砂に接することはない。(労働衛生安全法に抵触しないように)大阪メトロから業者に指示することになる。

*540億円かけて地下鉄を建設しても、万博終わったらどうするのか?
(大阪港湾局)万博のために建設するのではない。国際物流拠点、国際観光拠点として整備して、まちづくりを進めていく。人流について地下鉄で確保していく。万博が終わって役割がなくなるというものではない。

*2030年にカジノ・IRができても、5年間は空白になり、誰が乗るのか? 地下鉄が必要なのか?
*カジノ・IRの1日あたり最大集客数はどう想定しているのか?
(IR推進局)数字は年間来場者数を示しているので、でこぼこもあり、1日の最大来場人数は算定していない。アクセスごとの来場人数は出していない。
*IRカジノは夢洲まちづくり構想の核にも拘わらず、その想定もせずにアクセス整備を進めているのか。カジノへは1日当たり平均4万人。万博では一日当たりが最大日でも鉄道以外で約17万人運べる。地下鉄延伸しなくとも、十分余裕があるはずだ。

*万博期間中は、コンテナを咲洲から夜間に夢洲に運ぶとしているが、費用的に見えてこないところがある。その費用は業者が負担するのか? トンネルの中で車が横転して、3時間ストップしたこともある。上手く回るか不安。現場の声を聞くことは考えているのか?
*万博期間中に、神戸に流れてしまう。なぜそれを言わないのか?
(大阪港湾局)港湾協会や労働組合とは対話の場も設けている。質問には改めて回答したい。

*駅舎は本当に高層ビルを作るのか?
(大阪港湾局)高層ビルは大阪メトロが打ち上げたもので、いまでも生きているかはわからない。駅前総合開発は駅舎とは別。

*広域一元化条例の中身は「規約」で決まっていくことになるのだろうが、これまで決まっていた事業の費用負担は見直しもされるのか?
(副首都推進局)4/8の会議で「規約」案の骨子が出され、承認された。現在、「規約」を作成中。これまで決まっていたものの費用負担は従前通りとされているが、8条3項で必要と認める場合には議論されることになると思う。

*万博建設費用の見直しもあるのか?
(副首都推進局)8条3項に「必要があれば、費用負担について府と協議する」とあるので、協議の結果、そうなる可能性はある。

*総合区を市民局が担当するようになったのはなぜか?
(市民局)住民の身近なところで区長の権限を拡大して、基礎自治体機能の拡充を目指すという意味で、市民局で担当することになった。私もそうだが、13人中5人が副首都推進局から横滑り。

*広域行政一元化について、市民がほとんど知らされていない。2000億円が条例や規約であちこち回されるというのは本当に考えて欲しい。
posted by terama at 17:09| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

5/19「一元化条例制定後の大阪府・市政を考える討論集会」は6月17日に延期します

どないネットでは、5月19日に「一元化条例制定後の大阪府・市政を考える討論集会」を開催する予定でしたが、緊急事態宣言の延長にともない、会場のエルおおさかが臨時休館となったため、集会の開催を6月17日に延期します。

一元化条例制定後の大阪府・市政を考える討論集会
「大型開発投資」=成長を問う!

6月17日(木)18時30分~20時30分
エルおおさか大会議室
posted by terama at 16:54| Comment(0) | 広域行政一元化反対 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする