2020年07月14日

2025年万博をSDGs万博にするために、会場変更の検討および持続可能性評価の実施を求める声明文

今年6月、どないネットも参加している夢洲懇談会(夢洲の都市計画変更を考える市民懇談会)が呼びかけた共同声明を、博覧会国際事務局(BIE)に送付しました。

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2025年万博をSDGs万博にするために、会場変更の検討および持続可能性評価の実施を求める声明文

日本国際博覧会協会は2025年万博を、SDGsを達成するための万博と謳っています。しかしながら、万博の会場となる夢洲まちづくり計画はカジノ誘致が前提となっており、SDGs達成のための万博が、カジノのための街づくりに利用されている状況です。(SDGsが目標とする持続可能な社会とカジノ誘致が相反することは言うまでもありません。)2025年万博をSDGs万博とするために、今一度、SDGsの理念に立ち戻り、会場の選定プロセスから考えなおすべきです。

さらに、夢洲を会場として選定した市民への経緯説明は不十分であり、加えて、以下のような問題への対応が不十分であることからも、夢洲を万博会場にするべきではなく、会場変更を検討すべきであると考えます。

①「国内及び国際的な輸送交通手段と(多くの人が無理なく来場できる)アクセスの確保」
②「無理のない開発計画と博覧会終了後の社会的影響への配慮」
③「会場の立地条件と跡地利用計画における自然環境の保全」

これらの問題を考慮するならば、当初から日本国際博覧会協会が候補地としていた、他の候補地のほうが明らかに万博開催に適していると言えるでしょう。まして夢洲および周辺地域は、災害時の津波や浸水、遡上高、津波火災、液状化による護岸沈下等の防災上の問題や、アクセス不足による来場者の安全性からも非常に問題の多い島です。あまり知られていないことですが、夢洲は、大阪府の生物多様性ホットスポットAランクエリアです。数千を超える渡り性水鳥の貴重な餌場・休憩地であり、緑の少ない大阪市にとっても貴重な自然再生の場です。2025年万博が、この貴重な環境の破壊に結びつくようなことは避けなければいけません。

さらに最低条件として、愛知万博やミラノ万博が実施した環境影響評価の理念の継承が必須と考えます。そのためには、2025年万博がSDGsの達成に貢献することが明確に理解できる持続可能性評価を、日本の国内制度に先行して実施するよう、BIEから指摘することを強く要請します。


<別表1> 持続可能性評価について

1.大阪万博に求められるSDGsの取組み
①計画段階から事業終了後の2030年まで、万博を実施したことによるSDGsへの貢献を計測できる指標を持つこと。
②その指標は、大阪・関西地域の歴史、現状と課題に即したものであること。
③また、その指標は市民参加を保証するプロセスにより設定され、検証し、評価されるべきものであること。

2.評価指標について
たとえば、SDGsによる評価指標を以下のように設定し、万博開催前、期間中、閉会後、閉会後3年後、5年後(2030年)において、各指標の到達状況を確認できるようにすることを提案します。以下の評価指標は、あくまで例示であることを申し添えます。

(1)自然環境
①気候変動対策(目標13)
・関西エリアの温暖化ガス排出量
・温暖化関連現象
②海の豊かさ(目標14)
・海産資源量
・水辺の生物の生息面積(干潟と湿地の合計)
③陸の豊かさ(目標15)
・緑地面積とそこでの希少な植物・昆虫類・両生類・哺乳類・鳥類の生息可能面積の総和
・森林減少を引き起こしている産品〔木材、紙、パーム油、大豆、牛肉、カカオ、ゴムなど〕において企業グループとして森林減少へ関与してないことを確認する基準策定やトレーサビリティの確認、原産地等情報開示

(2)社会環境
①飢餓をなくす(目標2)
・相対的貧困率
・生活保護の割合
②健康と福祉(目標3)
・外国人を含む社会的弱者の数
・支援体制の充足状況
③教育(目標4)
・ESD(持続可能な開発のための教育)の進捗状況
④ジェンダー(目標5)
・民間企業の女性の正規雇用者の割合
・民間企業の性別有給育児休暇の日数
・女性障がい者の正規雇用の割合
・女性管理職の割合
・男女の賃金格差
⑤水・衛生(目標6)
・大阪湾に流れ込む河川の水質と汚染物質の量
⑥不平等をなくす(目標10)
・女性、外国人、被差別部落出身者、疾病、性的マイノリティ(LGBT)、ホームレス、刑務所 出所者に対する差別の相談件数
⑦持続可能な都市(目標11)
・関西エリアの大気汚染濃度の推移
・交通事故者数
・仙台防災枠組2015-2030に沿った優先行動・ターゲットの実施
・全ての文化及び自然遺産の保全、保護及び保存における総支出額
⑧平和と公正(目標16)
・児童福祉司の数
・環境影響評価図書等の情報公開の実施件数
・刑法犯認知件数
・児童虐待相談対応件数
⑨パートナーシップ(目標17)
・経済産業省の途上国支援プログラム予算額
・大阪府の途上国支援プログラム予算額
・途上国支援プログラム事後評価値

(3)経済環境
①貧困(目標1)
・年金無受給者の数
・小学校給食費未納者の数
・外国人の生活保護受給世帯数
・ホームレス支援の予算
②エネルギー(目標7)
・消費電力のうち再生可能エネルギーの割合
・熱・動力エネルギーのうち再生可能エネルギーの割合
・ライフサイクル温室効果ガス排出量の観点から危惧があるパーム油や木質バイオマス発電等の禁止状況
・万博全体として脱炭素化を実現するためのライフサイクル温室効果ガス排出量
③働きがい・経済成長(目標8)
・関西地域でのESG投資額
・大阪市・大阪府・関西の一人当たり可処分所得の伸び率、失業率
④産業・技術革新(目標9)
・地球温暖化関連の研究開発従事者数と研究費
⑤持続可能な生産と消費(目標12)
・フードロスの量
・エコリーフ環境ラベル取得製品数
・環境ラベル(EPD)取得件数
・関西のフェアトレード商品の売上高
・関西の食料自給率
・森林減少ゼロや絶滅が危惧される生物の生息地保全、人権尊重を遵守する第三者監査を行っていることの確認

<別表2>自然環境における持続可能性評価について
About Assessment of sustainability in the natural environment

公益社団法人 大阪自然環境保全協会
 Nature Conservation Society of Osaka(public interest incorporated association)

(目標13)気候変動対策/Goal 13: Climate action
緑地の少ない大阪市のなかでは、夢洲は、とくに広大な緑地及び湿地面積を持っており、大阪湾岸の気候空気清浄のためにも貴重な地域。

(目標14)海の豊かさ/Goal 14: Life Below Water
夢洲は、海岸の99%が人工的に改変された大阪湾における貴重な汽水の池がある島であり、時には1万ちかくの渡り鳥が立ち寄る。

(目標15)陸の豊かさ/Goal 15: Life on land
島の一部は珍しい塩性湿地となっていて、生物多様性に富み、絶滅危惧の植物も見つかっている。
今年5月上旬、夢洲に絶滅危惧種の渡り鳥コアジサシ(Sterna albifrons)のコロニーができた。場所は同じ島の万博予定地の隣接地。
しかし、そこでは環境影響評価を行わずにIRカジノの建設が進められている。
夢洲のような独立した島の場合、島全体の自然環境を総合的に調査する必要がある。でも、まだ調査していない。

(目標16)平和と公正/Goal 16: Peace, justice and strong institutions
大阪市は、ここが海であった時代に行った昔の環境影響評価だけを根拠として、その後埋立途中に発達した生態系を調べることなく土地造成を継続している。

以上

【賛同団体】<順不同>
特定非営利活動法人 AMネット
市民マニフェスト 大阪UP
ジュゴン保護キャンペーンセンター
特定非営利活動法人 関西NGO協議会
一般社団法人 SDGs市民社会ネットワーク(略称:SDGsジャパン)
気候ネットワーク
大阪を知り・考える市民の会
大阪カジノに反対する市民の会
あかん!カジノ女性アピール
カジノ問題を考える大阪ネットワーク
全大阪消費者団体連絡会
どないする大阪の未来ネット
社会福祉法人大阪ボランティア協会
(一財)アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)
特定非営利活動法人 地球環境市民会議(CASA)
CODE海外災害援助市民センター
STOP!カジノ大阪
市民のための行政を求める会
公益社団法人 大阪自然環境保全協会
熱帯林行動ネットワークJATAN
ウータン・森と生活を考える会
posted by terama at 18:07| Comment(0) | 夢洲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月12日

総務省に要望書を提出

7月8日付で、どないする大阪の未来ネット、STOP!カジノ大阪の連名で、総務省に以下の要望書を提出しました。
総務省要望書200708.pdf

大阪都構想は、コロナ禍の中、市民説明会も開催できず、経済的にも大きく環境が変化しています。コロナ以前の数値で試算した「制度案」は、当然にして再検証・再検討されるべきです。前回の住民投票の際も提案者側は、「総務省のお墨付きをいただいた」と強調しました。その意味でも貴総務省のご意見やご判断は市民に与える影響は大きく、より慎重な対処がなされるべきと考えます。

2020年7月8日
総務大臣 髙市早苗様

どないする大阪の未来ネット
STOP!カジノ大阪

大阪の「特別区設置制度案(協定書)」に対する要望書

貴職におかれましては国民・市民の生活向上、地方自治の健全化のためにご尽力いただき敬意を表します。さて、私たちは大阪の都市問題や府政・市政について共に考え、必要に応じて政策提言も行う市民団体であります。

ご承知の通り、大阪府・大阪市は大阪市を廃止し4つの特別区に分割するための制度案を6月19日の「第35回大都市制度協議会」において採決し、賛成多数で可決、その後、貴省に送付いたしました。

この制度案の基である「特別区制度(原案)」を決める昨年の12月の法定協議会では、知事・市長・協議会会長は、可能な限りの市民説明会や市民参加の「出前協議会」などを開催して、市民の理解を得るべく努めるとの考えも表明されました。

しかし、その後、予期せぬ「コロナ感染問題」が発生したことにより、当時計画された4月及び5月の2度の「出前協議会」が中止となりました。従って、市民への説明や議論の場を一度も開催できていません。

説明会に変わるものとして、4月後半より5月に「市民意見の募集」をネットと郵送・FAXで実施しましたが、緊急事態宣言下で市民は「資料」の閲覧場所にも行けず、ネットでも「37ページ」に及ぶ制度案を印刷するすべもない市民が大半で、まして、コロナ感染から身を守ることに集中すべき時に「制度案」のことを考える余裕などありませんでした。

こんな中でも寄せられた意見は、888名、2376件でありました。注目すべきは888名の内、7割の市民が「コロナが収まるまで、議論やスケジュールを延期すべき」の意見表明でありました。

しかしながら、知事、市長は「市民は誤解をしている、大阪は府・市一体だからコロナ対策も進んでいる、コロナと特別区制度は別であり、このまま進めるべき」と採決を強行しました。

私たちは、この制度案(協定書)は中味以前の問題として、下記の理由から欠陥協定書であると考え、貴省が制度の進め方の不備を認識いただきまして、大阪府・大阪市及び法定協議会に対し「再検討」、「再協議」の意見を添えて差し戻しをされることを強く要望いたします。



1、 この特別区設置協定書は、2015年に住民投票で否決された内容とほとんど変化なく、区割りを5から4に変えただけですが、知事・市長は前回より大きくバージョンアップしている内容と言っています。どこが、バージョンアップなのか市民は理解できていません。まして、市民の多くは政令都市「大阪市」が廃止されて「特別区」に再編されることの、「メリット」・「デメリット」の比較材料も持っていません。前述したように、これらの説明会も議論の場の提供も全くない中で、20名の協議会委員により採決されたものであり、住民投票に付す「協定書」としては大きな欠陥があります。

2、 この制度案(協定書)が、根拠としている大阪府・大阪市の歳入・歳出などの数値、及び将来の財政指標等は、2018年当時の数値を根拠としています。昨年末からの「コロナウイルス問題」は、世界的な経済不況を派生させ、日本経済や大阪の経済にも戦後最大と言われる停滞局面を招いています。同時に、市民の生活への不安や雇用不安に対して自治体としてなすべき課題が山積しており、すでに大阪府は4月より7回(7号)、大阪市も2回の補正予算の編成がされ歳出規模も膨らんでいます。その上、今年度以降は大きな税収減が予測され、2年前の予測収支見通しなどは全く通用しなくなっています。コロナ以前の数値で試算した「制度案」は、当然にして再検証・再検討されるべきであります。従って、住民投票に付す「協定書」案として市民の判断を仰ぐには大きな問題があります。

3、 この制度案(協定書)での、実施スケジュールによりますと、今年の秋から冬に「住民投票」とされており、知事・市長は11月1日に住民投票を実施したいと言っています。そのため、9月の初めの大阪府議会、大阪市会で議決する方向で進められています。今、世界中が「コロナ問題」にどのように対処するか、同時に日本でも秋から冬にかけての感染拡大に備えて、政府・自治体が一体となって「感染防止策」、「市民生活対策」「医療整備」などの対策と中小商工業者の経営を守り、倒産や失業を防止する長期的な対策に集中すべき時、あえて混乱を持ち込む「住民投票」は、避けるべきと考えます。まして感染が広まることにでもなれば、3密回避、集会・討論の自粛などで、民主的議論が保障されません。従って、最低限、住民投票へのスケジュールを「コロナ感染問題」の収束が確認されるまで延期されるべきであります。

4、 5年前の住民投票の際も提案者側は、「総務省のお墨付きをいただいた」と強調しました。その意味でも貴総務省のご意見やご判断は市民に与える影響は大きく、より慎重な対処がなされるべきと考えます。

以上


posted by terama at 11:36| Comment(0) | 大阪都構想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月07日

大阪市役所行動の報告(7/6)

7月6日の大阪市役所行動に参加したどないネット運営委員からMLに投稿されたものを転載します。

昨日の「釜ヶ崎センター開放行動」等4団体の大阪市役所交渉に参加しました。住民登録のない野宿者などへの一律交付金の支給について、「住民票がないとダメ」の一点張りだった大阪市が、当事者や支援団体の粘り強い交渉で、ようやく「全員に支給」という原則からの柔軟な対応を約束しました。

本来真っ先にやられるベきことが、3か月以上にわたる信じがたい無責任な対応の末に、やっと一歩進んだというところです。何が「全国に先駆ける大阪モデル」だ! 

給付金業務を民間に丸投げし、市の職員が上からの指示なしには何もしない結果、大阪市の給付金支給は全国で最も遅れています。「二重行政を解消して行政を効率化した」結果がこれだということをメディアもちゃんと報道してほしい、というのが感想です。

以下は「コロナ補償を求める大阪行動」からの転載です。

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7月6日市役所前交渉
快挙です!
 
6月11日付け「大坂城講演よろず相談・釜ヶ崎センター開放行動・釜ヶ崎パトロールの会・長居公園仲間の会」四団体で要望していた要望
1)総務省に対し、住民基本台帳への登録にこだわらない特別定額給付金の道筋を求めること。
2)それが難しい場合、定まった住所を持てない者に対し、住民基本台帳への登録を可能にする代替手段を現場の運用によって実質的に確保すること。
3)(協議の手続き上の要望なので、省略)
のうち、2)が大筋で認められました。
 
東京で野宿労働者にどうやって定額給付金を支払うか、という問題についての新聞記事や、総務省初の6月17日付け文書「ホームレス等に対する住所認定の取扱いについて(通知)」(以下「6・17文書」とする)さらには6月4日市長会見文字起こし記録を資料にしました。 
 
こんなことを、市長は6月4日に言っています。

やっぱり住所がないと支給できませんのでね。だからそこを、住所を確定するために行く場所がないのならシェルターに来てくださいということです。
 
6・17文書は、定額給付金支払いのための、住民登録…のために出された文書では(あくまでも)ないのですが、逆にその運用は自治体に任せます!となっており、自体の決断で定額給付金支払いのための仮の住民登録が出来るわけです。しかし大阪市の住民登録担当は「居住実態」に即した住民登録を!と譲らず、こちらが提案している「あいりんセンター(シェルター)」に住民票を置くことについては渋り続けていました。6・17文書にある「当該宿泊場所などの管理者の同意があり」という文言に拘泥し、「管理者との協議が…」などと言って、市の施設なんだから、管理者は市でしょ!
 
ということで、自立支援グループの担当に「同意してくれますか?」とその場で聞くと、大阪中の1千名もの野宿者が潜在的な「利用者」であり、利用証をつくれば、利用者としても認められ、利用者であれば、センターに住民票を置くことについて「同意書は書く」との回答を得ました。そして、住民票担当にもそれを認めさせたのです!
 
シェルターで住民登録し、それに基づいて支払うという枠組みを認めさせました。その仕組みの運用方法を早急に作ること、区役所だけでなく、利便性のある専用窓口を設けること、周知の方法について検討すること(今は「定額給付金制度」についてのチラシを配っているだけ…そこには”つながらない”相談センターの電話番号が書いてある…給付をあきらめさせるためにまいているようなビラである)を要求しました。
 
なお釜ヶ崎などには住民票を再度作るのが非常に困難な人もいるため、引き続き総務省に「住民基本台帳への登録にこだわらない特別定額給付金の道筋を求める」こと、総務省には市からも行っているそうなのだが、こちらからも住民票によらない支払いスキーム…住基ネットで記録を探し、戸籍附票等をつかって本人確認を行う等…も示し、また最後の手段として、総務省からの明確な回答が無い場合、市が腹をくくって支払う(1000人に10万円支払っても、1億円)こと、定額給付金の支払期限、8月25日を延期すること(こんな大阪市の仕事のやり方じゃぁ、期日までに全員支払うのは絶対ムリ)大阪市が総務省に対し、住民票の枠組みで支払えない人に対し、どのように対応するのか、取り組み状況を広報し、世論に訴えることを要求しました。

なんとか定額給付金を全員に支払わせるための目途がついてきました。次回の協議は、17日の午前中、9:30~です。
posted by terama at 10:10| Comment(0) | 市民生活・医療福祉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする