11月19日付の日本経済新聞電子版には、この辺りの事情を解説した記事が掲載されています。
まず「大阪IR「万博前開業」明記へ 府・市の実施方針案」という記事には、大阪府・市が、カジノ・IRについて「2025年国際博覧会(大阪・関西万博)前のIR開業を目指すと明記する方針を固めたことが19日、府・市関係者への取材で分かった。週内にも公表する。詳細な時期は明記せず、12月にも事業者を公募する段階で示す。府・市は25年万博との相乗効果に期待し、24年度中のIR開業を目指してきたが、事業者などから工期の短さに懸念が出ており、開業時期が焦点になっていた。府・市は万博前開業の方針を変えないが、具体的な時期については引き続き検討する。」とあります。
また、同日付の別の記事では、松井市長が「時間がない中だが、(IRと万博の)同時オープンを追求していきたい」と記者団に強調したと書かれています。同記事には、「万博の来場者にIRにも来てもらえれば良いPRになる。IR目当ての観光客も万博に呼び込める」という大阪市幹部の話も紹介されています。万博来場者をカジノに呼び込んで、カジノ事業のスタートダッシュを保証したいとの思いが露骨です。
大阪・夢洲のカジノに関心を示しているのは、米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの共同チーム、シンガポールのゲンティン・シンガポール、香港のギャラクシー・エンターテインメントの3つの事業者で、すでにコンセプト案が出されています。しかし、同記事では、事業者が強い不安を抱いているとして、「IRの予定地である人工島・夢洲(ゆめしま)は万博会場でもあり、工事の集中による渋滞も懸念されている。・・・ただ、事業者の不安は強い。大阪参入を目指すあるIR事業者の関係者は「工期は短いままだ」と指摘。「開業時期など具体的な条件を早く示してもらわないと、戦略が立てられない」と不満を漏らす。」との声を紹介しています。
しかし、こうした動きの中でも、夢洲の危険性やカジノ持つ問題点については、完全にスルーされたままです。