2019年04月26日

選挙結果と『都構想・万博・カジノ』を考える討論集会(4/25)の報告

4月25日、「大阪W選挙・・・厳しい結果にいかに立ち向かうか 選挙結果と『都構想・万博・カジノ』を考える討論集会」が、どないする大阪の未来ネットとSTOP!カジノ大阪の共催でおこなわれました。会場のエルおおさか708号室は、約100人の参加でほぼ一杯となりました。

IMG_20190425_195219.jpg

討論集会では、まず主催者あいさつとして、中野雅司さん(大阪を知り・考える市民の会)が発言しました。

中野さんは「衝撃的な選挙結果ではあるが、事実を受け止めて、そこから出発するしかない。自民党内部に維新支持が形成されたことに驚いたが、それは共産党が候補者を支持したからではない。衆院補選12区の結果を見れば、そこでも自民党支持の66%しか自民候補に投票しなかった。選挙前は、入れ替え選挙に拒否反応が強かったが、2週間で完全に逆転された。都構想でも同じことが起きた。選挙戦術でも際立つ違いがあった。こちらは街頭での演説内容は候補者任せだったが、維新は同じことを何度でもわかりやすく説明していた。果たして、今後も自民候補に相乗りすることでいいのか、という思いはある。これからが、本当の意味での地方自治が始まるのではないか」とダブル選挙と今後について話されました。そして、最後に5月12日に開かれる学者の会のシンポジウムへの参加を訴えました。

IMG_20190425_183340.jpg

メインのお話は、薬師院仁志さんの講演「ダブル選挙結果と市民運動の方向」でした。以下、講演の要旨です。文責は、どないねっとにあります。

選挙戦略という点がすべてだった。反維新候補の側の選挙戦略がまずかったのは確かで、維新は単独政党のため、誰もが一貫した主張を言いやすかったことはある。自民票のかなりの部分が維新に流れた。革新系の票までもが維新に流れた。その背後には、長く維新が野合批判をしてきたことがボディブローのように効いてきたということがある。今回だけに限らず、うまく「野合」レッテルを貼られた。

渋谷での交通事故で、ネット上で「上級国民は実名報道されないのか」という声があふれた。亡くなった被害者に連帯する輪が広がる以上に、加害者を叩く輪が広まってしまうという世の中の風潮がある。「上の人たちはつるんで甘い汁を吸っているのではないか」という感情が社会に蔓延している。そのため、自民も共産も既得権者だという感情をかき立てやすかった。

安倍政権に批判的な野党票が維新に流れたのは、「自民党と組んでいるところに入れたくない」という思いがあったのではないか。有権者は、なかなか国政レベルと大阪とを分けては考えない。柳本さん、小西さんは徹底的に自公でいくべきだったという声もあった。共産や立憲民主とはつるんでいないということをはっきりさせて、自民・公明票を固めた方が良かったのではないかという意見だが、そうすれば反安倍の革新票は取れないことになる。

維新の側が単一争点=都構想と住民投で選挙を構えてきた。そうであれば、反維新も単一争点として「大阪市をなくすな」で選挙をやるのは当然で、それを「野合」というのはおかしいのだが、票にはならなかった。維新は単一争点だというのなら、「大阪市廃止・分割」というポスターを貼ってまわるべきだったのだが、それはやらなかった。大阪市役所はなくなるが、大阪市はなくならないと言っていた。「野合」批判を言いつつ、大阪市廃止を言わない。一生懸命に都構想はおかしいと言って、まじめに都構想をしゃべっていたのは小西さんと柳本さんで、維新は「大阪の成長を止めるな」と言っていた。

カジノにしても、一般論でカジノ賛成・反対という人がいるが、具体的に大阪の夢洲でカジノをやることに賛成か、反対か、が問われなければならない。

維新に入れた人は有権者の三分の一にも満たない。維新支持者ばっかりが投票に行った。知事・市長が途中で辞めてまで再選挙をして、府議・市議選に絡ませても、投票率は52%少しだ。イメージで投票している、具体的に都構想がどうか、ということを意識して投票しているとは思えない。

維新の選挙戦略「成長を止めるな」は、成長を止めようとする者がいる、それは野合している既得権者だ、という意味だった。それは「既得権者に甘い汁を吸わすな」という感情をかきたてるものだった。維新に入った票というのが、本当に大阪を発展させようという意識で入れたものとは思えない。「上の者がつるんでいることで、自分たちが損をしている」という感情が煽られた。維新は、単一争点にまきこんで「野合」批判、「既得権益者」批判をした。中小企業の状況が悪くなったのも「上の人がつるんでいる」からというわけだ。

そういうことに不満を持っている人たちが維新に票を入れた。西区など転出入率が高い地域で維新支持が多い。大阪に根付いていない人たちで、ある程度裕福な人たちに維新支持が多い。「生活保護に自分たちの金が使われている」といった負担感を強く感じている。それをやっているのは既得権益者だ、共産党は自民党と組んでまで既得権益を守りたいのかという言説になる。「止めるな」という言い方は、あいつらが「止める」ということを意味する。

住民運動の方向としてどう考えたらいいのか?住民投票では市民運動の多様性を発揮できた。市民運動がたくさん街頭に出て訴え、中身をしゃべることができた。しかし、選挙の時にできることは限られていた。メガホンで候補者名を叫ぶだけだった。維新支持者にとって、自分たちとは違う人たちの多様性が逆に「つるんでいる」というイメージを与えた。税金を多く払っているのに、それに見合うサービスを受けていない、負担するばっかり、という自分たちにとって損か、得かで判断している。大阪をみんなで繁栄させるという発想はない。大阪の成長を本当に望んでいるのではない。

困難点は、正しいことを言い続けるということで、維新の選挙戦略にはめられたということ。では選挙戦略に徹すればいいのか?それなら市民運動の意味があるのかという問題がある。4年後に勝つためには戦略に徹しなければならないが、そうして勝っても維新的なものが残るだけではないのか、という疑問が出てくる。しかし、勝つためには、ある場合には戦略に徹することで合意できるような運動を作らなければならないのではないか。

IMG_20190425_191615.jpg

講演に続いて、服部良一さんが、韓国の自国民向けカジノ「江原ランド」の視察報告をおこないました。日本と同じくギャンブル依存勝率が高い韓国でのカジノの実態や、カジノによって生活や家族・会社を壊してしまった人がいるという話は、これからの大阪にとっても人ごとではない問題だと感じました。

質疑・討論の中では、「住民投票のあとで市民運動の動きが止まった。維新は負けた翌日から運動を続けていた。街頭での運動を続けていくことが大事。維新のチラシなどのファクトチェックのサイトを立ち上げられないか?」という意見や、「なんで大阪だけ、二重行政とか、都構想とか、言うのか?」という質問が出されました。薬師院さんから「ファクトチェックの準備はしている」「二重行政とか、都構想とかは、大阪府民や市民から出てきた問題ではなかった。維新の側が持ち出したもの。いまだにきちんと説明しない。副首都なんて、世界のどこにもない。架空だから、無限にイメージを描ける、好きなことを言える。大阪都もできない、架空の存在だ」とのお答えがありました。

討論集会の最後に、馬場徳夫さんがまとめをおこない、次の3点が提案されました。
① 今日の内容を参考にしてもらって、地域でどんな運動ができるのか、具体化を図っていただきたい。
② 夢洲開発の転換について、パブコメを募集している。自分の思う意見を出していただきたい。
③ 各政党・各会派に市民運動から意見を出す。われわれの意見を法定協に反映させる政党が議席を減らした。5月28日にカジノ反対の一大イベントをおこなうので、ぜひ結集を。

IMG_20190425_184355.jpg
posted by terama at 14:36| Comment(0) | 大阪都構想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月23日

「夢洲の都市計画素案」説明会(4/21)に参加して

4月21日に開かれた「夢洲の都市計画素案」説明会に参加されたどないネット運営委員からレポートが寄せられました。どないネットでは、4月25日、STOP!カジノ大阪と共催で、選挙結果と『都構想・万博・カジノ』を考える討論集会」を開きます。こちらにも是非ご参加ください(18時30分、エルおおさか708号室)。

ーーーーーーーーーーーー

「夢洲の都市計画変更素案」へのパブリックコメントが募集される中、大阪市による説明会が4月21日開催されました。

定員300人の会場の内、参加者は100名弱ほど。30分の説明後、1時間の質問時間というスケジュールで、まだ質問の手が挙がっている中、時間切れで終了を告げられました。

■今後のタイムスケジュール
・5月8日までパブリックコメントを実施、
・パブコメを反映した「都市計画変更案の策定」は約2か月後(7月ごろ?)
・縦覧の期間を経て、「都市計画審議会への付議」は、約2か月後(9月ごろ?)
審議会を過半数?で承認されれば、夢洲の都市計画が決定する、という見込みです。

58383817_2224609100951324_4733174077542367232_o.jpg

以下、主な質疑応答をご紹介します。パブリックコメント等、論点整理の参考になさってください。
(記録者の理解・聞き取りによるため、誤り等ある可能性があります。ご了承ください。)

■防災面から
市民側 :これまで「洪積層」は沈まないという前提だったが、現在は地質学会でも沈むと認められている。50年で15mレベルの沈み方ではすまない。エンドレスに沈んでいく。ビジターの安全をどう考えるのか。

A、50年後も9mの高さがあるように設計しており、問題ないと考える。

■物流面から
市民側 :夢洲は国際コンテナ戦略港湾・大阪港の中心的機能を担っており、今後も拡大するはずだが、今回の用途変更で規模縮小するのでは?

A、同じ面積で同じ貨物量を取り扱うので、縮小にはならない。

市民側 :いや、縮小している。これまで夢洲を埋立・整地した後は、土地販売してきたが、2年前から売却の宣伝がストップしている。

市民側 :夢洲の中で太い道路を作っても、夢洲への入り口は変わらない。すでに、橋とトンネルは大渋滞しており、貨物量が今後も増える。片側2車線を3車線にしたところで、集客施設との両立は不可能。間違いなく対応できない。

A、言われる通り、特に万博の時期は期間中2,800万人の来場を見込んでおり、混雑が懸念される。うち4割を電車、4割シャトルバス、2割が自家用車で、混雑軽減を図る。
(注※ちなみに、USJの年間来場者数は、1,460万人(2016年)。夢洲万博は、2800万人を半年間で集める計画になっている)

57441824_2219630098115891_7967665775806775296_o.jpg

■公害面から
市民側 :「ごみの埋め立て」を目的とし国から許可を得たはずが、「土地を作るため」に目的が逆転している。海洋埋立法・瀬戸内法に関して、国への申請・説明は何としているのか?

A、第1期~第3期と埋め立て進捗に併せ、処分地として平成40年まで活用するため、土地利用は変わらず手続き不要だ。一部急いで埋め立てる場所があるだけ。

市民側 :ダイオキシン汚染が、3世代に渡って発生することが分かっている。土壌調査が必要だ。グリーンテラスは、ダイオキシンで人が入れない。どうやって区分するのか。

■投資の観点から
市民側 :カジノ・ホテルなど、かなり大型の民間からの投資を想定している。リスク管理・持続可能性から見たESG投資の観点からも、これだけリスクが指摘される中、本当に民間企業が参入するのか。

A、マーケットサウンディングで、事業者側の需要を聞いて対応する。

■自然面から
市民側 :夢洲は大阪府が認める生物多様性のホットスポットのAランクの重要な場所。今回の変更はその辺りを加味されているのか?

A、(答えられず)
(この段階でもまだ答えられへんのはおかしい!と会場から突っ込み多数)

■目的から
市民側 :大きな計画変更だが、その目的が見えない。何を目的としたまちづくりなのか。

A、用途を限定すると、事業が制限されるので固定せず募集している。
(ノープランということやないか!と、会場から突っ込み多数)

■財源面から
市民側 :大阪都構想が大阪市では大きな話題だが、特別区になった場合、夢洲の負担はどうなるのか。

A、都市計画変更の説明会のため、今回説明できない。
(これだけ都構想が話題なのに、今でも説明できないなんて!等、会場から突っ込み多数)

<ここまで>

時間制限があるため、これ以上の質問は、パブリックコメントで聞いていくしかありません。

ぜひ、この質疑応答で「?」と思ったところなど、みなさんの声を届けましょう!

<パブコメ応募方法、ならびに当日配布資料は、こちら大阪市HPをご覧ください。>

→報道発表資料 「夢洲の都市計画変更素案」に係るパブリックコメント及び説明会を実施します
https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/toshikeikaku/0000463321.html?fbclid=IwAR3-QiK4XGwkxQ5-bcnj3XQBf55MChczDvttZzr8Xn7yWxVTlWTIQFOAT7g
posted by terama at 15:35| Comment(0) | 夢洲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月09日

大阪W選、厳しい結果にどう立ち向かうか!選挙結果と「都構想・万博・カジノ」を考える討論集会(4月25日)

4月25日に、大阪W選、厳しい結果にどう立ち向かうか!選挙結果と「都構想・万博・カジノ」を考える討論集会を開催します。

大阪「春の陣」と言われた「4重選挙」の結果は、私たち市民運動にとっても大変に厳しい結果となりました。この結果を受け、いかに運動を再構築するか、総括と討論が迫られています。

さしせまった「大阪問題」が全く争点化されず!

1,500億円もの初期費用を使い「大阪市」という自治体を壊して「大阪府」に吸収することが、なぜ「大阪の成長」に有益なのか?、そもそも成長とは何か・うわべの華やかな「イベント」「祭り」に巨額の投資をすることや、「二重行政」という名による施設・施策の統合廃止が市民の望む「成長」なのか。「住吉市民病院」を後継の医療機関もなく廃院させた責任は?、「万博・カジノ・IR」の候補地としての「夢洲」問題や巨額投資の是非など、選挙で議論されたのでしょうか。

より強化された「維新政治」への対抗策は?

限られた財源を「夢洲開発」への巨額投資に使うのか。 南海トラフ地震から「命を守る防災対策」や、介護や医療対策、水道インフラ対策など生活対策を優先させるのか。議論はまさにこれからであります。 市民的議論をこちらに導く市民運動が求められていると考えます。

選挙結果と「都構想・万博・カジノ」を考える討論集会

日 時 4月25日(木) 18時30分~20時30分
会 場 エルおおさか本館 708号室(地下鉄・京阪「天満橋」西へ5分)
集会内容 主催者挨拶: 大阪を知り・考える市民の会  中野雅司さん
     講演: 「ダブル選挙結果と市民運動の方向」
           講師: 帝塚山学院大学教授   薬師院仁志さん
     「韓国・江原ランド」視察報告  元衆議院議員  服部良一さん
資料代  500円

共 催  どないする大阪の未来ネット:STOP!カジノ大阪
連絡先:大阪市北区天満1-6-8 六甲天満ビル2階 (電)06-6355-3101
      おおさかユニオンネットワーク内

チラシはこちらからダウンロードできます
4,25集会案内ビラ(2).pdf

4,25集会案内ビラ(2).jpg
posted by terama at 12:45| Comment(1) | 大阪都構想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする