2018年11月22日

第16回法定協議会での質疑内容(11/12)

大阪都構想の第16回法定協議会での質疑まとめが「フリージャーナリスト幸田泉の取材日記」にアップされています。

11月12日に開催された法定協議会では、批判が噴出している嘉悦学園が実施した大阪都構想の「経済効果」の報告書については、この日も議題にはならず、引き続き副首都推進局への質疑が行われました。

自民党会派は役所が作成している市民向けの広報が「大都市制度改革は決定したもので、現状のままという選択肢がないかのような印象を与える」と指摘。公明党会派は「特別区素案は、法律上、府税で賄う事務にまで財政調整制度をあてはめていて、大阪市民は税金を二重取りされる」と特別区民(旧大阪市民)に過度な税負担を強いる制度設計だと批判しました。

詳しい質疑内容は、以下のブログをご覧ください。
http://kouda-izumi.seesaa.net/article/462765207.html
ラベル:法定協
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2018年11月10日

巨大災害に備える自治体の課題〜11.8市民集会での塩崎賢明さん講演要旨

11.8市民集会での塩崎賢明さん講演「巨大災害に備える自治体の課題」の要旨を紹介します。文責は、どないネット事務局にあります。

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巨大災害に備える自治体の課題

今年は、日本を連続災害が襲った。しかし、今年が例外的とは言えない。地震について言えば、日本はきわめて特殊な国土であり、日本には分かっているだけで約2,000の活断層があり、プレートの圧力が高まって内陸のひずみが増大する「ひずみ集中帯」が何本も走っている。南海トラフの前にも地震が多発しており、異常気象もつづく。毎年、今年のような災害が起き、しかもどんどん悪化していく可能性が高い。

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災害への対応では、事前予防・救急対応・復旧復興のサイクルがあるが、問題なのは復旧復興の過程で膨大な被害が出る「復興災害」である。確かに事前対策は必要で、高知県黒潮町には34mの高さの避難タワーがあり、南海トラフの津波が来た時には、ここに逃げれば命は助かるかもしれないが、その下の街並みは破壊され、住まいは失われてしまう。災害の後にどのように生き延びるか、が大きな問題となる。

災害に関する法制度には、災害対策基本法と災害救助法がある。基本法では、市町村が災害対応の基本とされている。しかし、市町村には財政も乏しく、力量もない。東日本大地震のあと、それまでの「公助」に加えて「自助」と「共助」が特に強調されるようになった。市町村や住民の自主性尊重は重要だが、国の責任逃れになってはいけない。

最近の災害の特徴は、関連死が増加していることである。熊本地震で、直接死が55人だったの対して、関連死は212人にのぼり、四倍近くになっている。死亡者には弔慰金が出るため、死者の数は把握されるが、その一歩手前を含めて病気になった人の数は把握できない。関連死の主な原因は、避難所生活や避難所への移動にある。関連死以外にも、関連疾患や災害による生活苦、住まいがなくなったり、被害を受けたことによる困難などもある。

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(北伊豆地震の写真は、出典:毎日新聞社)

避難所は、1930年の北伊豆地震の際から90年経っても全く進歩がなく、床の上に雑魚寝するなど非人間的なままである。だから、避難所に行かない人も大勢いる。日本の避難所のトイレは工事用のトイレであり、食事はおにぎりというのも、関東大震災の昔と変わっていない。新潟大学の榛沢さんは「体育館の雑魚寝や車中泊は、血管に血栓ができるなどエコノミークラス症候群になりやすく、食事やトイレも含めて、避難所・避難生活の改善が急務」と主張されている。床の上に雑魚寝すると、口が床から近いところにあるため、ほこりなどを吸い込んでしまい、非常に不健康だ。

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国際的に見れば、アメリカの災害避難所環境アセスメントでは、「水道・お湯が使える」「1人当たり3.3平方米以上のスペース」「電気が使える」「避難所で食事を作る、食事は冷たくない」「十分な簡易ベッド、マット」「ベッド、布団の定期的交換」「おむつ交換の場所は清潔」「子どもの遊び場には手洗い場がある」などが定められている。日本では、国がそのことを認識していないわけではなく、内閣府が「避難所の生活環境の整備等について」を出して、避難所の長期化に際して備えるべきものを書いているが、実際には改善されていない。

福祉避難所があるのは45%にとどまっていて、しかも実態は福祉施設が避難所にされている。これでは、普段から入所者で満杯なので、災害時に避難者を受け入れられない実態となっている。

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イタリアの避難所を見てみると、医療施設や食堂があり、簡易ベッドも備えられている。トイレとシャワーのユニットも用意されている。食事は、1時間に1,000食を作ることができるというキッチンカーで調理された温かいものをテーブルで取ることができる。食事にはワインもついている。1980年のイタリア南部地震の避難所で提供された食事は、パン、スパゲッティ、ハム、ソーセージ、ビーンズ、スープ、ワイン・ジュース付だった。

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まずは避難所のTKB(トイレ・キッチン・ベッド)の改革=「清潔で使いやすいトイレ」「温かい食事を食卓で」「雑魚寝をやめ簡易ベッド」が必要だ。大阪の段ボール会社の社長さんが段ボールベッドを考案し、避難所に持ち込むと、最初は断られていた。

隠れた被災者としての「在宅被災者」の問題もある。避難所や仮設住宅に行けず、壊れた自宅で生活している被災者のこと。災害救助法による応急修理をしてしまうと、仮設住宅や公営住宅の申込みができなくなるのだが、このことを知らない人も多い。石巻では、震災以降ずっと壊れた自宅に住み続けている人もいる。

地震や豪雨による住宅被害では、一部損壊という住宅が非常に多い。しかし、一部損壊ではほとんど支援の対象にならない。人手不足で業者がこない、年金暮らし、高齢、介護、病院通いなどでお金がなく、自力では住宅修理できない人が「在宅被災者」になっていく。今日の高齢化社会、格差拡大の中で一般化する恐れがある。

災害に対する対応では、鳥取県の取り組みが進んでいる。災被災者一人ひとりのカルテを作り、ニーズを把握し、支援する「害ケースマネジメント」の制度を作った。2000年の鳥取県西部地震以降、基金の積み立てを行い、2年前の地震では半壊や一部損壊も支援した。

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仮設住宅には、鉄骨プレハブ、木造、みなし仮設がある。鉄骨プレハブ仮設住宅は住み心地は最低なのに、1戸当たり700万円以上のコストがかかる。

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木造だと地元の材料を使い、地元の工務店が作るので、地域活性化にもつながり、コストも400万円である。みなし仮設(借上げ仮設住宅)は、自分で選べるし、早く入居できるのだが、問題点もある。日本に800万戸の空き家があり、これを活用するのも方向性としては正しいが、いろいろ問題もある。

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イタリアの仮設住宅を見てみると、日本との違いに驚かされる。いくつかの種類があるが、いずれも広さは60㎡〜100㎡あり、3LDKや4LDKで家具はあらかじめ付いている。これでも、イタリアの被災者からすれば狭いと感じられるようだ。

日本では、災害公営住宅も多く建てられてきた。その中で問題となったのは、孤独死の問題である。阪神・淡路大震災での孤独死は、震災後の22年間で1,259人にのぼる。災害公営住宅で孤独死を発生させないように、というのが最大の教訓になっている。この災害公営住宅がベストの答えかというと、そうは言えないところがある。自力再建できない人のセーフティネットとしては重要だが、本来は自分の生活にあった住宅を自由に選べるのがベスト。20年後の復興住宅では、高齢化、リーダー不在、孤独死などの問題が出てくる。

国の被災者生活再建支援制度は、阪神・淡路大震災の被災者の運動の成果だが、支援金が最大100万円で、阪神・淡路大震災には遡及適用されなかった。2000年の鳥取県西部地震では、当時の片山知事が県単独で300万円の支援金を支給した。その後、法改正で、国からの支援金も最大300万円となった。各自治体では、住宅再建支援金の上乗せがあるが、本来は同じ災害で、自治体によって支援に違いがあるのはおかしい。全国どこでも同じように支援が受けられることが大事。

「復興」=都市整備というのが「伝統」になっているようだが、これは永遠不変の原理ではない。東日本大震災の「復興」で、大規模な移転事業がすすめられているが、1戸当たりのコスト非常に高いものになっている。インドネシア・スマトラ津波の高台移転では、市街地から遠いために空き家が増え、学校も荒れ放題になっている実態もある。

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今後予想される南海トラフに対する備えとしては、まずは早期に避難することが大事で、早期避難で12.5万人は助かると想定されている。最大津波水位は3~4mと想定されているが、台風などと重なったら、これでは済まない。大阪特有のリスクもある。人口島の危険性は、東日本大震災の際のWTC被害や台風21号での関空水没で立証済み。夢洲でカジノや万博というのはとんでもないことだ。台風21号では、「想定外」のことがたくさん起きたが、南海トラフはその比ではない。テレビで池上彰さんが夢洲にカジノを作ることについて、「こんなところでカジノをやること自体がギャンブルですね」と言っていたが、その通りだ。

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災害には起こったあとの復旧・復興の備えが必要である。避難所の改善はすぐにでも実行すべき。財源を有効に使い、被災者が喜ぶ無理のない復興の仕組みを作らなければならない。自治体首長は最前線で復旧・復興に取り組む構えを持たなければならない。「こんなことは初めて」というのは、毎年どこかで災害が起きているのだから、単に不勉強なだけである。

また、国民意識の改革も必要だ、おにぎりを差し入れてもらって有難がるのはおかしい。そして、防災・復興を常時考える「防災・復興省」がぜひとも必要である。東日本大震災の復興事業には32兆円使うことになるが、うまく使えていないのは、省庁ごとの縦割り事業になっていて、全体を考える人(部署)がいないから。

憲法改正による「緊急事態条項」は不要だ。現行法の活用で十分対応できる。非常事態宣言が一度出されると、解除されないままに独裁への道を歩む可能性があり、大変危険である。

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自力仮設住宅という選択肢もある。インドネシアでは、被災者自らの手で「増殖型自力仮設住宅」としてのコアハウスという取り組みもされている。まず、資材を自分たちで購入し、大学教員や学生の指導を受けて、共同作業で鉄筋コンクリートの小さな住宅を作る。そのあと、2倍、3倍と拡大していくというもの。また、石川県輪島市では、2007年能登半島地震のあと、当時の総務部長の発案で、自宅敷地に公営住宅を建設するという取り組みを行った。自宅敷地の一部を市に寄付し、そこに公営住宅を建設する。すでに水道・電気・ガスなどは来ているから。建設コストは安くなる。将来の払い下げも視野に入れていて、行政と被災者がウィンウィンの関係になる。

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イタリアでは、ローマに市民安全省があり、750人の職員がいる。災害発生後1時間で、首相を含むトップ会議が開かれ、そこにはボランティア団体代表も参加する。地下のオペレーションルームでは、軍・警察・消防・赤十字などがそれぞれ昼夜三交替でモニタリングしている。イタリアのボランティア団体は日本とは違い、何らかの専門性を持つメンバーを登録していて、その数は140万人にのぼる。原則として、2週間のボランティア休暇が保障され、交通費・宿泊費などの実費は国費で支給される。ボランティア団体の一つであるValtrignoの拠点を訪問したが、この団体は元警察署長のマルコ会長が夫婦2人で設立し、いまでは600人が活動している。ボランティア団体は、倉庫の中に機材を揃えていて、救急車やキッチンカーなども所有している。
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カジノ・万博・都構想より「災害対策」を!市民集会(11/8)報告

11月8日、どないネット主催で、カジノ・万博・都構想より「災害対策」を!市民集会を開催しました。会場のエルおおさか708号室は、100人を超える参加者で一杯となりました。

集会の冒頭に、大阪を知り・考える会世話人の中野雅司さんが、会社経営者の立場から「今回のカジノ・万博に賛成できない理由」について問題提起されました。

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中野さんは、「カジノは先の話ではなく、市民が考え、声をあげていくとき。大阪に事前に特別認可して欲しいと、松井知事は官邸に働きかけている。形あるもので、市民の声を強く表わしていかなければならない。その一つとして、カジノ反対署名に取り組んでいる。来春の統一地方選挙が重要で、カジノを争点にしていくべき。推進派は着々と勢力を伸ばしていて、最近になって業界団体の中でも強い推進の声が出ている。カジノではなく、大阪の経済の底力をつけることが先決だ。そして、維新が潰してきた大阪の文化的資産を復活させることも大事だ」と提起し、さらに「大阪市の都市格がカジノにより貶められるばかりでなく、実際に危険な街になってしまう危険性が大きい。」として次のように述べられました。

カジノ法案によって、折角大きな成果を上げてきている暴力団対策法が骨抜きになってしまうと言われています。その資金源を断たれ始めて、勢力を失い始めている暴力団が新たな資金源を得ることによって息を吹き返すだろうと言われているのです。カジノ解禁で「新たなシノギ」を得ることができると暴力団が手ぐすねを引いているというのです。誰が考えても、危険な街になっていく危険性が大きいのは明らかです。
商都大阪において、事業は、何のために行うのでしょうか?石田梅岩は、社会貢献こそが事業の最終目的であり、最良の生き金の使い道だと言われています。ドラッカーも「企業の存在理由は社会貢献にある」と言い、松下幸之助さんも事業の目的を国民の幸福の実現に求められました。
カジノのどこに社会貢献がるのでしょうか?少なくとも商いの街大阪で行うべき事業であるとは、到底思えません。民衆の堕落は、すなわち社会の停滞へとつながっていくのです。
まさにカジノを誘致することは、大阪の本来の良さを潰してしまう暴挙とも言えるのではないかと思います。

続いて、神戸大学名誉教授の塩崎賢明さんに、「巨大災害に備える自治体の課題」というテーマで講演していただきました。

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1時間を超える講演の中で、日本各地の復旧・復興状況やイタリアでの仮設住宅の状況など、豊富や写真・図表を使って、災害に対する備えはもちろんだが、その後の復旧・復興をどう進めていくかが重要であることをわかりやすくお話しいただきました。講演要旨は、本ブログで追って紹介する予定です。

質疑応答の後、住吉市民病院閉院反対を訴えてきた中辻潔さんとあかん!カジノ女性アピールの薮田ゆきえさんからアピールをいただきました。薮田さんは、11月18日の女性パレードへの参加を訴えられました。

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最後に、どないネットの馬場徳夫さんが、行動提起として「都構想反対の署名活動の継続」「大阪へのカジノ誘致に反対する運動の強化」を訴え、成功裏に集会を終えました。
posted by terama at 10:49| Comment(0) | カジノ・IR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする