2017年04月30日

公共性の解体とカジノ誘致〜4・26市民集会報告その4

4・26市民集会の報告その4です。今回は、カジノ問題を考える大阪ネットワークの問題提起です。

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カジノと民営化の問題について。過去20年以上にわたって、大阪府・大阪市の行政に関わってきた上山信一は、「新しい公共」という概念を取り出した。つまり、少子高齢化社会を迎えて、これまで国や自治体に私たちが求めていたものを全て見直さなければいけない。ここから出発して、民営化という発想が出てきている。カジノという問題でいうと、今まで許したことのない民間賭博を、事もあろうに国や行政が進める、大阪で言えば府知事・市長の両方が誘致したいと言っている。こんなことは、つい最近までは大阪だけだった。こういう例は、世界でもレアケースだと思う。国や行政がカジノを推進するということは、国や自治体に対する常識を変えていかなければならないというショッキングな出来事になりはしないか。これを許すのかどうかという闘いになっている。
落語家の笑福亭竹林さんが「カジノ闘いは、大阪の都市格を取り戻す闘いだ」と言われたことに、私は全くその通りだと思う。
「忖度」という言葉がある。昨年11月には、自民党の二階幹事長は、カジノ法案を国会で通すのは難しいと言っていた。安倍さんも「ヒラリーが大統領になっていたら、カジノ法案は通さなかった」と言った。なぜそうだったのか?ラスベガスのカジノ経営者であるシェルト・アンデルセンという人物は、トランプに2億5千万ドル(約25億円)の献金をした。さらに大統領就任式に関わっても、彼はトランプに5億円の献金をしている。この事実を安倍さんはつかんで、二階幹事長に「カジノ法案の成立に万全を期してほしい」と言った。つまり、トランプが勝ったことで、「忖度」が働いたのだろう。森友事件と同じ構造だ。
松井知事は「目の前にぶら下げられたニンジンを食わないバカがどこにいる」と言った。1兆円という投資をしてくれるのが他にどこにいる、金さえ落ちくるのであれば少々は我慢してください、そのお金で社会保障や老人福祉をやるのがどこが悪いんですか、この考え方は原発や沖縄の問題と共通しているのではないか。このことを最初に訴えたい。

地下鉄の問題が話されたが、1991年に地下鉄値上げの話があった時に、地下鉄の財務分析を依頼された。そうすると、大阪の地下鉄は一挙に赤字が出た。それは、補助金を特別利益として計上していたのを資本(元手)に繰入れるようになったから。補助金をどちらに入れるかは企業会計上では任意だが、このように操作して赤字を出した。
国鉄の民営化をした時には持株会者が日本では認められていなかった。今はそれができるのに、JR東海の5000億円の利益で北海道や四国を補助するのは可能なのに、そういう議論がどこからも出てこない。だから、その利益を使ってリニア新幹線を作るという話が出てくる。こういうことに終止符を打たなければならないと思う。

私が学生の頃、国家が果たすべき役割は「社会的共同業務」という言い方をしていた。だから、その負担は公平に、能力のある人は応分の負担をという考え方だった。1974年の所得税法では、8000万円以上の所得については所得税・住民税合わせて93%だったが、今は50%になっている。支払い能力に応じて税金を払おうじゃないかということを潰してきた。潰してきた理屈は、「公共サービス」「社会サービス」。例えば、教育なら、良い教育を受けたかったらその分授業料を払え、払えなかったらそれなりの教育でかまわないのではないか、という考え方がはびこってきた。上山さんが「公共性なんか潰してしまえ」と20年前から言いまくってきた。病院や地下鉄を潰そうとしているのは、それ以外には潰せるところがないから。

NHKの「関西熱視線」という番組で、カジノは非常にもうかるといっていた。しかし、カジノの儲けとは負けた人のお金だ。1兆円の投資を7年間で回収するには、1年1400億円の利益が必要。どの利益を出すには、年間4兆7千億円をすってもらわないといけない。1時間5億4千万円になる。それだけの依存症の患者を生み出さなければ、投資は回収できない。これが賭博ビジネスの本質である。
50ページのパンフレットを作って、学習会の出前をやっているので、どんな小さな学習会でも呼んでいただきたい。
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2017年04月29日

「法定協議会」設置反対の署名・意見書を送ろう!

4月26日の市民集会の最後に、5月議会での「法定協議会」設置反対の署名と意見書を大阪市に送ろうという提起がありました。署名用紙と意見書のひな形をダウンロードできるようにしました。署名用紙は、各団体・個人で取り組んでいただき、どないネット事務局で集約したいと思います。また、意見書は、直接、大阪市に郵送・FAXをお願いします。

署名用紙のダウンロードは下をクリックしてください。
法定協設置反対署名 .doc

署名用紙集約先
530-0043 大阪市北区天満1-6-8 六甲天満ビル2F
      大阪ユニオンネットワーク気付 どないネット事務局

意見書のダウンロードは下をクリックしてください。
法定協反対意見書(団体・個人用).doc

意見書の送付先
郵送の場合
530-8201 大阪市北区中之島1-3-20 大阪市役所1階
      大阪市政策企画室市民情報課広報担当 宛
FAXの場合
06-6209-9999
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2017年04月28日

水の民営化はアウト!4・26市民集会報告その3

4・26市民集会報告その3です。今回は、市営水道の民営化について、NPO法人・AMネットからの「水道民営化はアウト」という発言です。

今日は「水道民営化はアウト」というお話をしたい。なぜアウトなのか、それは「水は公共財」という考え方から。この考え方は世界中のNGOで共有されている。ところが、民営化されてしまうと「公共財」として扱われなくなる、これが問題。
「公共財」として扱われないことの問題点は、公共性が担保されないこと。その理由の第一は、技術や技能を失った大阪市が、民営化された水道会社が「値上げしたい」と行ってきた時に正しく判断できるのか。世界中で、料金が高騰して失敗した民営化の例がみられる。
次にモニタリングがきちんとできるのか、という問題もある。自分がその仕事をしていて初めて、他の現場でのモニタリングができる。(水道の)仕事をしないで、本当にモニタリングできるのか。しかも270万人の大阪市で20人のメンバーしか想定されていない。
大阪市の職員が直接、料金の集金をしていたら、お金のない人への分割払いなど裁量を働かすことができるし、福祉との連携も可能になる。しかし、民営化するとそんなことは維持できない。
もう一つは、市民目線の欠如。議論が「民営化ありき」で、公営で何ができるかという視点を欠いている。海外では、料金高騰などにより、民営化された水道が再公営化された事例が、2016年で236件に上っている。人員を減らせばいいという考えも市民目線の欠如と言える。減らすだけでは技術の継承もできないし、他の自治体との連携や海外進出もできなくなる。

水道民営化と「大阪都構想」の矛盾は、大阪胃が責任を持つと言っておきながら、大阪市をなくそうとしている点。また、職員をいったん退職させて、民間で再雇用すると、退職金が150億円発生する。「都構想」と一体のものと思われる大阪市の市政改革ポラン2.0には、「官の果たすべき役割は市場原理が機能しない部分に限ぎる」と書いてあるが、水道事業は一つだけで市場原理が働かないのに民営化しようとするのも大きな矛盾である。
水道民営化の議案は、この前の市議会で審議未了で廃案となった。市議会で議論になったのは、本当に公共性が担保できるのか、収支シミュレーションが本当に信頼できるのか、民営化することが目的化されて問題が矮小化されているのではないか、もっと公営のままでできることがあるのでそれを検討した方がいいのではないか、世界でも民営化されたが再公営化された例も多くあるではないか、などだった。
大阪市の水道を考える時、流域で水が循環するという考えが必要。流域全体で融通できるものは融通しあえるようにしないといけない。

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2017年04月27日

公営交通の民営化を考える〜4・26市民集会報告その2

4・26市民集会の様子です。

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集会報告の続きで、今回は、4・26市民集会でのNPO法人・KOALAからの発言「交通事業の民営化について」のまとめです。
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大阪市営交通は、もともと、大阪市内には市営の路面電車網が張り巡らされていたが、幹線網が地下鉄、支線網がバス路線に転換。一方、「モンロー主義」が民鉄との相互乗り入れ、民鉄との運用連携を阻害してきた面もあった。戦前、市電網を整備した大阪市長鶴原定吉は「市街鉄道のような市民生活に必要な交通機関は、利害を標準に査定されるものではなく、私人や営利会社に運営を委ねるべきではない。」と主張していた。
地下鉄は2003年から経常収支が黒字に、2010年には累積債務を解消、2013年以降は累積剰余金を積み上げる状態に。一方、市バスは路線縮小や賃金引き下げなどで、経常収支はとんとんだが、累積債務は800億円程度ある(2014年)地下鉄事業は既に年間300億円以上の経常利益を確保し安定した経営が可能であるが、バス事業は経営支援が終了する民営化10年後に路線の存廃問題が発生する。しかし、そもそも採算性だけを取り上げると、日本の鉄道路線網は大都市周辺、大都市間に限定されてしまう。麻生副総理も「JR北海道の経営危機について」この話は商売のわかっていない「学校秀才」が考えるとこういうことになるという典型ですよ。国鉄を7分割(・民営化)して「黒字になるのは三つで他のところはならない」と当時から鉄道関係者は例外なく思っていましたよ」と言っていた。
交通はネットワークである。電気、ガス、水道、通信の制度改革の論議の中にはユニバーサルサービスの維持があった。(欧米の民営化はユニバーサルサービスの維持が前提条件)経営効率化とユニバーサルサービスの維持は政策の両輪。事業本体だけの採算、路線単位での収支論議は交通ネットワークを破壊する。先ず地域全体で交通網を支える論議が必要(黒字路線が赤字路線を支え、地域を守る)その意味では、バス路線の維持が最大の課題
都市交通のあり方を考えるには、市民・利用者、事業者、行政の三者による三位一体の取り組みが必要であるが、主役は市民・利用者である。
株式会社の株保有について、ローンスターによる「泉北高速株」売却問題、村上ファンドによる「阪神株」買占めの教訓からも、利用者便益(安全、サービス)や都市格向上を視野に入れない事業者の参入については厳しく監視することを忘れてはならない。
公営交通について考えるとき、まずめざすべき都市の姿=高い都市格つくりを考えるべき。その際には、高齢社会の到来、環境モデル都市、ユニバーサルデザイン、来訪者へのおもてなしを視点に入れる必要がある。第二に、総合的な都市交通政策の必要性がある。事業の一体性、サービスレベル、財政からの検討が必要。最後に、新会社は市民のものであることを忘れてはいけない。新会社の意思決定権は「大阪市」が保有すべき。論議の前提は市民協働である。
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4・26集会、成功裏に終了〜報告その1(どないネットからの問題提起)

昨日(4月26日)、どないなる?大阪!「都構想_:民営化を考える市民集会がエルおおさかで開かれ、会場を一杯にする100名の参加で成功裏に終了しました。発言いただいた皆さん、参加者の皆さん、ありがとうございました。
集会は帝国の6時30分に始まり、まず主催団体であるどないネットから「大阪市会の動向と諸課題」について問題提起がありました(問題提起の内容は、記事の最後に)。続いて、「都構想」や民営化に関わる様々な課題に取り組んでいる方々から、報告をいただきました。
*交通事業の民営化について〜NPO法人・KOALA
*市営水道事業の民営化について〜NPO法人・AMネット
*IR・カジノ誘致について〜カジノ問題を考える大阪ネットワーク
*各種研究所の統合・独立法人化について〜環科研・公衛研まもれネットワーク
*住吉市民病院統合・移転問題について〜社会福祉士の方から
どの発言も問題の本質を突く内容で、何が問題なのかよくわかるものでした。特に、この「都構想」や民営化が「公共」の解体を目指すものであることを強調される発言が多かったと思います。
さらに、5月17日に開催される「住民投票から2年・大阪問題市民大集会」のアピールが元大阪市長の平松さんからありました。平松さんは、集会の内容を紹介しながら、「維新はええんちゃう」と感じている市民・府民を一人でも集会に連れてきてほしいと訴えました。最後に、司会から今後の行動提起があり、集会を終えました。
なお、集会でどないネットから5月17日の市民集会スタッフ募集を案内しましたが、これは一般には募集していないとのことです。間違った情報を流してまったことについて、5・17集会の主催者の皆さんにお詫びするとともに、取り消させていただきます。
本ブログでは何回かに分けて、それぞれの発言の内容などについて、掲載していきます。まず、どないネットからの問題提起を以下にアップします。
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「問題提起」
3月27日に橋下前大阪市長がアメリカで講演し、トランプ現象を賛美するとともに、日本国民の意識を変えるため「米国に強力な外圧をかけてもらいたい」、日米が「お互いに血を流し合うという信頼関係」を構築する必要があると述べた、松井大阪府知事は、沖縄・高江での大阪府警機動隊員の「土人」発言を擁護した。吉村大阪市長は、サンフランシスコ市に慰安婦像設置に対する書簡を送っている。このように、大阪が危険な方向に向かう政治の発信地になっている感がある。心を引き締めて、維新政治と対峙しなければならないと強く感じている。

1. 大阪市会2017年第1回定例会(2~3月)・重要案件の結果
<民営化議案>
*「市営交通事業の民営化議案」 維新・公明・自民の賛成(2/3超)で可決 
   3月27日 委員会可決  翌28日 本会議可決
   2018年4月に地下鉄新会社発足、バスは子会社「大阪シティバス」に全面移行
   自民の賛成条件「大阪市が新会社」株を100%保有すること」「交通事業への地方交付税が継続されることの確
   約」を受け入れて
*「水道民営化」議案 :審議未了で廃案となる
   市長は、改正水道法(国会上程中、重大災害時に自治体の共同責任を明記して、民営化へのハードルを下げる内
   容)での民営化、大阪府企業団への統合を並行して目指すと表明
<府市統合議案>
*「港湾管理の府市統合」議案:3月27日に議案撤回 (大阪府議会も撤回)
*「住吉市民病院」の跡地移転病院への改修費用予算削除(少なくとも2年間空白)
*「各種研究所」の府市統合・独立行政法人化、「府・市立大学」の統合・再編などの議案は以前に可決済み、予算措置・具体化に向けて進行。
<大阪都構想>
*「法定協設置」議案 :継続審議となる(規約を修正して5月議会へ)
   自民が「法定協関連予算案」に反対の修正案(6,000万円の予算削除)を出すも否決。 予算は可決。
*大阪府議会も継続審議となる

2. 「大阪維新の会」のめざす大阪都構想へのスケジュール
*5月市会・府議会で「大阪府・大阪市特別区設置協議会の設置に関する協議について」、(法定協議会)の規約案を修正して再提出し、「公明党」を抱き込み可決を図る。表決数をめぐって、今のところ公明党と違いがある。
*可決後に「法定協議会」をスタートさせる
*法定協議会で「総合区案」と「特別区案」の真逆の構想を並行して議論。
*8月以降に「総合区案」の素案をつくり、大阪市会で議決する。
  (おそらく、議決するだけで準備にかからず棚上げか)
*9月24日 堺市長選挙 
*2018年○○月、「大阪市廃止・特別区設置設計図」を府・市会で可決を想定
  (過半数を持たない維新が、どのような多数派工作をするか)
*2018年秋(10月?)に「大阪市廃止・特別区設置」の再度の住民投票へ、万博の開催地決定(11月)前に住民投票に持ち込みたいのではないか
*2019年4月 統一地方選挙 
*2019年11月 府知事・市長のダブル選挙
         
3. 二重行政解消・なんでも民営化政策の欺瞞と破たん
*新会社の株式を民間に渡さないと「民営化」ではない。早期に民間に渡すように・・私鉄
*なんでも「民営化」は水道事業で「破綻」
*府・市事業の統合提案にみる「二重行政」解消政策の欺瞞

4. 市民を愚弄する「都構想」の再現
*2年前の住民投票での最終結果を「愚弄」「無視」する再度の「都構想」提案。
*「総合区」(行政区の権限強化)と「特別区」(大阪市解体)は真逆の制度。
*「総合区」議論は「特別区設置の法定協設置」議案を可決させるための「誘導策」?
*「総合区」導入を市会で「可決」して、それを実施もせず、次に「特別区」(都構想)での住民投票とは「議会」「自治」の破綻。
*「特別区」設置か「総合区」かの事実上二者択一の住民投票、「現状維持の行政区制度」(市民の多数意見)の選択権を奪う手法は、憲法95条及び「特別区設置法」の想定外。
*朝日新聞2月世論調査 現状行政区46%、総合区12%、特別区33%
*吉村市長の昨年末発言、「特別区か総合区かの住民投票はできない、だから総合区を先に決めておく」総合区は議会で議決できる、総合区が先に決まれば46%の多数意見の人々は自分の意見を反映しする場が奪われる
posted by terama at 09:13| Comment(0) | イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする